シンビジウム

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11/11/2024, 7:59:34 AM

【ススキ】

       ススキなんてなくても、
     
       だんごなんてなくても。
     
   あなたと見る月が、世界で一番綺麗だよ。
  
        
        「月が綺麗だね」

       「…死んでもいいわ」
                       fin.

11/8/2024, 9:18:01 AM

【あなたとわたし】

わたしたちは、正反対だ。
だからこそ助け合えるね、そう笑い合っていたのに。

いつから、バラバラになったのかな。

あなたはもう近くにはいない。
わたしには見えないところにいる。
いつか、また出会えるかな。
                       fin.

11/7/2024, 8:45:38 AM

【柔らかい雨】

私は、傘を持つのが苦手だ。
折りたたみ傘をかばんに一つ入れるのすら苦手だ。
すぐなくしてしまいそうな気がするから。

傘のいらない柔らかい雨なら、喜んで濡れて帰るのに。

そう思いながら、今日もかばんに折りたたみ傘を忍ばせている。
                       fin.

11/6/2024, 8:24:48 AM

【一筋の光】

変わらない日々に嫌気が差す。
毎日学校へ行って、ただ授業を受けて帰る。
話す友達もいないし、一生懸命になれる部活もない。
青春も人生も無駄にするのだと思っていた。
どんよりした今にも雨が降りそうな空のようだった。

何気なくスクロールしていたスマホの画面。
あるクリエイターさんの動画を見た瞬間、一筋の光が差した。
短い時間で人の心を掴み、記憶に残る。
明るい口調と表情の裏には、きっと血の滲むような努力がある。
そのことに気づいて息が止まりそうになった。

人生を無駄にしている場合じゃない。
この人みたいになりたい。

暖かい布団を抜け出して、明るく電気をつける。
勉強机の上を綺麗にして、教科書を広げる。
シャーペンを持って手を動かせば、
見えない未来に向かって手を伸ばし始めた。
                       fin.

11/5/2024, 8:48:56 AM

【哀愁を誘う】

         哀愁を誘うもの


地平線に沈む夕日

ツタに覆われた廃屋

稲刈りが終わった田

過去の教科書とノート

先輩を追いかける新人

過ぎていく季節

真っ赤に咲く彼岸花

風に揺れるカーテン

お揃いで買ったキーホルダー

祖父が語る戦争の記憶

大好きな人の視線の先

葉が落ちた桜の木

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