きらめき
まるで瓶に詰めた飴玉のよう
ただの飴玉ではない
しゅわしゅわする飴玉だ
わたしが幼い頃
わくわくと目を輝かせ
どきどきと胸を高鳴らせた記憶たち
幼稚園のお庭から空を見上げ
流れる雲の速さに思わず目を奪われたこと
近所の公園にある階段に座り
夕日に照らされながら鐘の音を聞いたこと
祖父母の家がある田舎へ行き
日常と非日常の併存の不思議を感じたこと
あの頃のように
力いっぱい遊ぶことはできるか
あの頃のように
屈託のない表情を浮かべられるか
あの頃のように
「今」しか考えずに生きられるか
現在の私よ
飴玉の詰まった瓶はまだ持っているか
傾けるとコロコロと鳴り
光に透かすとキラキラ光る
口に入れれば
思い出話に花を咲かせるよう
炭酸の音を立て
ゆっくりと丁寧に語るよう
静かに溶けていく
忘れちゃいない
忘れはしない
だって
大事にしまっておいたままだろう?
些細なことでも
階段で、前の人が傘の先をこちらに向けて持っていたり、電車に乗るとき、前に並んでた人がすぐに乗降口のスペースを確保したり、ただすれ違うだけなのに、ばちっと目が合ったり服装を舐め回すよう見られたり。
人が、誰かにとってモブAであるとき、自身の行為が他者に与える影響を気にはしない。ちっとも気にしない。私も、意識しなければすっかり、うっかり、忘れてしまう。モブAがその名を名乗れる時があることを。
通行人?小学生?中学生?高校生?大学生?社会人?男性?女性?老人?赤ちゃん?
名乗れたら、今度は意識する先を少し変えなければならない。君の行為、発言、視線、仕草、表情。どれを取っても、誰かに対して大小関わらず影響を与え得ることを、君は、僕は、忘れてはならない。
かけ違えたボタンを正すように。ほつれた糸を綺麗に直すように。丁寧に、ていねいに。
心の灯火
明けない夜はないらしい
止まない雨もないらしい
努力はいずれ叶うらしい
信じる心だけ持ってゆけ
そんな言葉があまりにも
溢れてしまっている世に
私は小さくため息をつく
出たため息の代わりに
ぱくり。
ご褒美のアイスを頬張る
信じる心よりも尊い時間
私が信じたいと思うのは
リアルタイムな私の気持ち
はくり。
でもどうしてなのだろう
私が私を優先するたびに
世界は私を突き放したがる
はく り 。
希望という名の心の灯火
その火は絶えず消えずとも
一体どこを照らすのか
剥離。
照らしてくれ私の未来
どうか、心の灯火よ
私の気持ちは燃やさずに
開けないLINE
ポキポキ
軽快な音を立て
メッセージの受信を伝える
まだ開けない
ポキポキポキ
音は鳴り続け
気持ちを囃し立てている
ちょっとまだ
ポキポキポキポキ
あまりにもしつこくて
ついうるさいと思ってしまった
まだなんだよ
シン…
あれれ、あれれ
もう通知音は鳴らない
ずっと圏外から抜け出せない
まだまだらしい
それも伝えられない
LINEが開けないんじゃどうしようもない