♰ (X:@xsxrxdxcxex)

Open App
6/6/2022, 11:03:43 AM

‐最惡‐



部屋のソファで足投げ出して

頬杖ついて退屈してる
“ご主人樣”と

飼ひ慣らされる
數字の異形ら

全てが毒し冒されて
何も麻痺して感じない


儀式のやうに仰々しく
豪奢なグラスに

アブサン注いで

角砂糖のせ火を附けよ
指さし目配せ指圖する


ゆらゆら搖れる青い炎

牀から這ひ上がり
纏はり附く蛇

抽出される
呪ひの植物苦ヨモギ

啼き交はしてゐる
つがひの鸚鵡

纏わせられた花言葉
“此の世に存在しない”



眞晝の月よ
夜中の太陽

羊の瞳
横長瞳孔

黒い流し目
撃ち墮として

此の世から
拐かしてしまはう

永遠に

6/5/2022, 2:37:06 PM

‐誰にも言えない秘密‐



日曜の魔法

夢のやうに
刻は過ぎ

小雨降るなか
鐘は鳴る

かけ降り乍ら
振り向き乍ら

午前零時の
記憶喪失

6/4/2022, 10:28:29 AM

‐狭い部屋‐


瞳のレンズの向かふ側

泡の上がる水音と
靜かに泳ぐわたしの古代魚

水槽前で照らされ乍ら
ミルクマグを兩手に抱へ

ぼんやり口開け眺める
年下のキミ


華奢で細いなで肩が
ダレた襟首から零れてる

白い肩に咬みついて
紅い痕を殘したら

困るだらうと意地惡したら
振り返らずに首を傾け

ココにもしてよと
要求してくる

クスクス笑ひで一枚上手


學校サボつて
いつも入り滲つてる

年下のキミ

6/3/2022, 10:07:07 AM

‐これは失恋の物語、始まりは…‐


廻轉琴が掻き鳴らされる
廻る廻る運命の輪

給水塔を遙か越えて
共に作つたペンシルロケット

いつかあの星に行かうと
約束をした左の小指

こどもの約束夜空を越えて
あなたは獨り星に成つた



洋琴を奏で屆けるやうに
キーボードを叩いて彈いて

あなたが曲を奏でるやうに
わたしが謳つてあなたに傳へる

あなたはわたしの廻轉琴
わたしはあなたの自動書紀

國立博物館で待つてゐて
黒鐵天象機で夢を描いて

素敵な夜で終わりませう


眞鍮のトートロンの前で待つてゐて
雙葉鈴木龍の化石の前で待つてるわ

6/1/2022, 12:35:23 PM

‐梅雨‐


硫酸の雨

亞鉛鍍鐵板の雨避け
打つて滴り流れ

煙りを出して
泣いてゐる


派手な漢字の飾燈電飾

電氣音を走らせ乍ら
ヂヂと呟き瞬いた


濕氣つたシガー
掌隱し

君のジッポで
火を燈けた


年をとらない僕の横顏
管が繋がる手首の端に

見え隱れする墨印條形碼


君の言葉を想ひ出す
雨が好きだと言つてたね

Next