6/3/2024, 9:21:45 PM
「私、あの頃はあなたが好きだったの」
特別な秘密を打ち明けるような声と笑みで、俺はこの長年の想いがもう届かないことを知った。
"失恋"
6/3/2024, 9:28:07 AM
ぎゅ、と抱き着けば途端に鼓動が速くなった。何ともありませんというようなしれっとした顔をしているくせに、耳は赤くて視線は絶対に合わない。
「ふふ、身体は随分正直ね」
「言い方よ」
ああ、かわいいひと。
"正直"
6/1/2024, 11:56:29 AM
「てるてる坊主を毎日大量生産したら梅雨って来ないまま滅するのかな」
「そんなに梅雨に恨みあんの?」
てるてる坊主も荷が重いだろうよそれは。
"梅雨"
5/28/2024, 1:42:12 PM
あ、と気付く。物販列の折り返しに並んでいた俺と同じツアーTシャツを着た女の子は、いつも教室で物静かにスマホを構っている同級生だった。整列バーを一本挟んだだけの距離は、話しかけるには難しくない。けれど、このバンドが好きだったことを初めて知ったし、そもそも話したことだって必要最低限な連絡事項くらいしかなかった。
会場中の多くの人が着ているのに、そんな距離感のクラスメイトが自分とお揃いのTシャツなのが何故だか妙に落ち着かなくて。慌てて見なかったフリをして、帽子を目深に被り直した。
"半袖"
5/27/2024, 3:27:08 PM
「オレのために人生まるごとフルスイングしたお前に今さら何言われてもな」
「こちらの台詞だ。俺に殺されたくせに死後もご丁寧に俺を待っていたお前に何を言われても愉快なだけだよ」
軽口を叩き合いながら、地獄へ続く道をようやく揃ってまっすぐ歩き始めた。
"天国と地獄"