5/12/2024, 7:03:18 AM
信号待ち中にブブッと振動した端末を開けば、『前!』と暗号染みたメッセージがあった。首を傾げながら正面を向けば、横断歩道の向こう側で照れたように控えめに手を振る彼の姿。大きく手を振り返す。すると、通る車の間に嬉しそうに笑う姿が見えた。
あ、と瞬間思う。今なら、言えるかも。
違う。今なら、じゃない。今じゃないと、言えないかもしれない。
そわそわどきどき心が浮き立っている。早く、早く、早く、信号が変わらないだろうか。そう思いながら、信号と彼を交互に見て再びポケットにしまった端末をぎゅっと強く握った。
信号は、もうすぐ青に変わる。
"愛を叫ぶ。"
5/11/2024, 8:29:30 AM
「蝶の標本って自分でやると思うと可哀想で無理~と思うんだけどぼくのなつやすみでは昆虫採集嬉々としてやっちゃうんだよね」
「そうかそうか、つまり君はそんなやつなんだな」
「エ、エーミール…!」
"モンシロチョウ"
5/9/2024, 1:39:55 PM
ダブルアーツの続編
"忘れられない、いつまでも。"
5/8/2024, 9:26:24 PM
「来年も、一緒に来られたらいいっすね」
祈るようにそう言えば、一学年上の先輩は「そうだね」と何も考えていないような声で返す。何で俺がそう言うのか、来年の今頃はもう卒業してるあんたはわかってんのかなぁ。
"一年後"
5/7/2024, 1:07:41 PM
「好きな子誰?」と友達に聞かれて、成る程普通は好きな子がいるものなんだなと初めて知った。結局、私は皆と話すために当時別に好きでもなんでもなかった子を好きだという設定にした。あの頃は好きでもなんでもなかったのに恋ばなになる度に持ち出して…失礼極まりなかったなと今更ながらにそう思う。
「だから、あの頃はごめんね?」
「それ結婚記念日に言う?」
"初恋の日"