「実際流れ星が落ちる前に3回言うのって無理だよね」
「極端に絞ればワンチャンあるかも?」
「例えば?」
「巨万の富!巨万の富!巨万の富!」
「金とか富の方が短くない?」
「いや、巨万の富が得たいから…」
「金持ちになりたいという執着がすごい」
"流れ星に願いを"
叱ることがある時は、ご飯を食べ終わった後に。
それが我が家の…というか、父の決め事だった。当時は結局怒られるのは変わらないのに、と思っていたけれど、私にヘソを曲げて部屋に籠ってご飯を食いっぱぐれたなんて経験がないのも、父に瞬間速度の感情に任せた酷い言葉を遣われたなんて経験もないのは、きっとそのお陰だったのだろう。
見習って私も父がトイレットペーパーを使いきったのに交換せず放置したことはご飯を食べ終わったら言うつもりである。覚悟しろ。
"ルール"
「オイオイ、見ろよダーマエこの天気。あたしの心とどっちが土砂降りかな…」
「土砂降りなの?」
「ん?んー…あっ!てか、ダーマエ何食べてんの?」
あたしもちょうだい!とにこにこして身を乗り出す森本さんに雑に絡まれたな、と思いながらお菓子を差し出した。
"今日の心模様"
「あなたが、人狼なのではないですか?」
うっすら微笑んで、そう一言落とされた。それだけ、ただのそれだけで周囲の目が一変する。ずっと怪しいと思っていた、あの時あそこでなにを、と確証のない曖昧な言葉を口々に投げつけられ最早どうしようもなく俯く。証拠は何一つない。けれど、最早弁解したところで無意味だ。
彼女に疑われた時点で、今日ここからいなくなるのは自分であると決定したのだから。
"たとえ間違いだったとしても"
「涙って何で泣いてるかによって味が違うんだって」
「へえ、そうなんだ」
「確かめてみる?」
「もしかして私今何らかの方法で泣かされようとしてる?」
"雫"