有栖川

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8/19/2023, 10:54:11 AM

『空模様』

「あっつ…」
今日は雲ひとつない晴天
おまけに、今日の気温は35度の猛暑日
なのに冷房が付いていない教室に僕はいた
滝のように汗がふきでる
その時、首に強烈な冷たさが肌に触れた
「冷たっ!?…」
僕はおそるおそる後ろを振り返る
そこに居たのは幼なじみの海斗だ
「なんだよ…」
「ほんと冷たいな〜差し入れしに来たんだわ𐤔𐤔」
「それにしてもお前、やばいだろ」
「じゃあアイス半分やーらね( ⩌`⤚⩌)」
なんて馬鹿なことをしてるのが僕らの日常
「そんなことよりアイスくれよ。暑いんだよ」
「しゃーねぇなー。ほいっ𐤔」
冷房のない教室にいた僕は目もくれずアイスを食べ始めた
アイスの冷たさが全身に染み渡る 至福だ
「あ"ぁ〜つめてぇ」
「あはは𐤔𐤔疲れたサラリーマンみたいじゃん𐤔」
「別にいいだろ💢」
真夏の雲ひとつない昼下がり
こんな馬鹿みたいなことしてる僕ら
まぁ、こんなのもありだよね?

作 有栖川

8/19/2023, 4:48:58 AM

『鏡』

「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?」
少女は今日も鏡へ問いつめる
白雪姫のようなお伽話では無いからもちろん鏡は答えない
だが少女は毎日鏡に話しかけていた
家族だって、クラスの誰だって、道行く人達だって己に勝るものはいないと思っていた
自分こそが1番輝いている、最も美しいのだと

だが自体は思わぬ方向に向かった

今日も少女は鏡へ問い詰める
「鏡よ鏡、この世でいちばん美しいのは誰?」
その瞬間、鏡が勢いよく割れた
ガラスの破片が勢いよく飛び散り、そのひとつが少女の目に飛び込んだ
『何が起きたのだろう?』
『目の前が真っ暗で何も見えない』
少女は酷く混乱していた

そして割れた鏡に誰かの姿がうつる
それは、自分が最も美しいと過信していた少女であった
今の姿とはとって違う、誰からも愛されて常に1番上に立っている己だ

そして少女は初めて己の醜さを思い知った


作 有栖川