世界には、変わらないことがある。
春になれば、桜が咲くとか、
秋になれば、山が綺麗とか、
あたりまえで、みんなが知っていること。
それに対して、人間の世界はすぐかわる。
きっぷの紙が、カードに変わったり。
ウェイトレスが、ロボットに変わったり。
どれも小さな、大きなこと。
だからこそ、忘れないでいてほしい。
ちょっと遠くを見渡せば、
変わらないことが、いっぱいある。
大切なことも、いっぱいある。
世界はそれを教えてくれる。
これからも、ずっと───。
沈む夕陽が呼んでいる。
真っ赤な空に大きく一つ、
まるい月が、夜を誘う。
世界は廻る、時間も過ぎる。
…そろそろ僕も、帰らないと…
君の目を見つめると、
そこにはいつも、僕がいた。
僕が君を見つめると、
そこには今も、君がいた。
それでも、あぁ、くやしいかな。
今はもう。
君の目は、遠い空すら映さないんだ。
カランとゆれる、光にかざす。
星空の下で小瓶をかかげて、
踊るみたいに、くるくるまわる。
宝石みたいにキラキラと、
光をたくわえる氷砂糖───。
きれいだね…
おいしいね…
街灯が照らす、まっくらな道。
瓶を通して色をまとって、世界が変わる。
まっしろ、ふわふわ雲の道
まっさお、じゃぶじゃぶ海の道
きょうはどれにしようかな?
ふわふわ優しい、ぴんく色?
わくわく嬉しい、おれんじ色?
どれもみんなたのしそう!
ね───。
そこのぷかぷかおばけさんも、
わたしといっしょに遊びましょ。
蒼い血潮の返しを浴びて、
震える両手で抱きしめる。
何をしている───。
脳に響くは己が定め
人ならざるは斬らねばならぬ。
そう刻まれた、絶対の諚。
油断をするなど、あってはならぬ───。
奴らは死すらも、越えてくるぞ───。
繰り返される警笛が、
思考の曇を晴らさんとする。
わかってる。
傷だらけの己の身は、
それが敵だと理解している。
…だからだろうか?
背筋を駆ける、鋭い悪寒。
小さく震える空気の揺らぎ、
その音の根が聞こえる前に。
振るった刀が、敵を断ち切った。
それでいい───。
そう呟いたのは誰であったか。
血だまりに。
穏やかな笑顔が、
ひとつ、転がっていた。