15日目
私の中にある時を告げるチャイムはいつも決まった時間に正確に鳴り響いていた。
それが鳴り響くのは私が眠る前。
そのチャイムが鳴らなくなったとき私は永遠の眠りにつくだろう。
毎日夜の12時には時を告げるチャイムが私の胸の中で鳴り響く。
それが鳴り終わるのを聞いて私は眠りにつく。
胸の中には10という数字が刻まれてある。
その数字は1回チャイムが鳴る事に1ずつ減っていく。
つまり、私の死へのカウントダウンだ。
あと10回、あと10日すると私は死ぬ。
あと10日どう生きるのか、私が死ぬ時、周りにどれだけの人がいるのか、想像もできないけど。
残された時間は少ない。
何をして過ごそうか。
14日目
もうあなたのLINEは開かないでおこう。
そう決めたはずなのに。
通知がなるとすぐにスマホの画面を確認してしまう。
あなたからの連絡じゃないとわかるととても落ち込んでしまう。
ただの都合のいい女だってわかってるのに、本当に愛されてないってわかってるのに。
あなたの優しい言葉を聞くと離れられなくなったしまう。
このままずっと一緒に居たいと思ってしまう。
「こんな関係終わりにしよう。」
「私の事本気で愛してる?」
なんて聞いて今の関係が壊れてしまうのが怖い。
会えなくなってしまうのが怖い。
でももう都合がいいだけの軽い女だなんて思われたくない。
だからもうあなたのLINEは開かない。
あなたのトークに鍵をかけて私はスマホの画面を落とした。
13日目
鏡の中の自分を見て思うことはただ1つ。
「なんでこんなにも醜いのだろう。」
街を歩けばオシャレをした可愛い人ばかり。
その人たちはきっと鏡を見ることが楽しくてしょうがないのだろう。
すっぴんでもメイクをした後でも可愛い生まれ持った美貌の人は私の気持ちなんか分かるわけないだろう。
どんなにおしゃれして可愛い子の隣で無理をして歩いても、男が見るのはノーメイクでも可愛い隣の美女。
私はただの引き立て役にしかならないのだ。
可愛くもない女が普通の顔面偏差値の女と歩いていてもそーなるだろう。
あーあ。
この世の全ての女が、男が、私よりも顔面偏差値が高くなければ。
私は誰かに愛されたのだろうか。
12日目
私の人生の終点とはどこなのだろうか。
好きな人と結ばれること?
願いが叶うこと?
人生とは、誰もがハッピーエンドで終われる訳ではない。
この世の数十人に1人の確率でバットエンドを迎える人もいる。
どう始まって、どう終わるのか、
私の人生は私にしか決められない。
限られた残りの人生をどう生きて、どんな結末を迎えるか、それも私にしか決められない。
私は、最高に幸せな瞬間だけを残して死ぬことを人生の終点にしたい。
11日目
私は鐘の音が嫌い。
いつも決まった時間に鳴り響く鐘。
家に帰れと急かす鐘の音が私は嫌いだ。
家に帰っても1人。どこに行っても1人の私。
鐘が鳴って家に帰っても虚しくなるだけだとわかっている。
でも、今は違う。鐘の音がなるのが待ち遠しい。
今では、私の家で、待ってくれてる人がいる。
私の帰りを笑顔で待ってくれてる人がいる。
だから、虚しい、なんて思わなくなった。
大切な人がいる家に帰るのが今ではとても楽しいのだ。
私は鐘の音が大好きになった。