酸素不足

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8/5/2024, 11:44:36 AM

『鐘の音』


ゴーンゴーンと遠くで鐘の音がする。
この音を聞くのは、最後になるかもしれない。

「今年も終わりだねえ」
「そうだねえ」

のんびりした口調の彼女につられて、自分の語尾も伸びてしまった。
二人でこたつに肩まで入り込み、ぬくぬくとしながら遠くの鐘の音を聞く。

「来年もよろしくねえ」
「ふふっ、こちらこそ」

おでこをコツンとくっつけて、この上ない幸福に浸る。

ゴーンゴーンと一定のリズムを刻む除夜の鐘を、もう、一人で聞くことはないだろう。
これからは、毎年彼女と一緒に聞けるのだから――。

8/4/2024, 11:38:24 AM

『つまらないことでも』


きみはいつも笑顔だった。
つらい時も、苦しい時も、笑顔を絶やさなかった。
僕がどんなにつまらないことを言っても、必ず笑ってくれた。

きみがいるだけで、幸せだったよ。

でも、くだらないことも、つまらないことも、笑ってくれていたきみがいないこんな世界は、とてもとても、つまらないよ。

7/26/2024, 11:44:12 AM

『誰かのためになるならば』


この私が役に立つと言うのなら、何でもしよう。
命が欲しいのなら、喜んで差し出そう。
たとえそれが、私を化け物と呼んで追放した人間達のためだとしても。
私が誰かのためになるならば、これ以上の幸福はない。

7/25/2024, 10:56:52 AM

『鳥かご』


鳥籠って素敵よね。
鳥の姿はちゃんと見えているのに、鳥は逃げることができないの。
本当に素敵な物だわ。

さてと、特注しておいた鳥籠が届く頃ね。
あの子に似合うものをデザインして、素材にもこだわった鳥籠。
あの子を入れるのが楽しみだわ。

あの子は気に入ってくれるかしら?

7/24/2024, 12:29:00 PM

『友情』


あの子のことは、絶対に忘れたくない。
この気持ちだけは、絶対に忘れたくない。
あの日々と、お互いのあの想いだけは、絶対に忘れない。

たとえ、私があの子の敵だとしても。
私達の間には、確かに友情があったのだ。

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