まぽわぽん

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10/30/2023, 12:26:51 PM

「好きです」

初めて告白した日は台風の日だった
ゴオゴオと唸る強風のなか
一緒に信号待ちしてたチャンスを
見逃したくなくて

「え、何?聞こえないよー!」

豪雨にびしょ濡れになって
雷も鳴るなんてバッドタイミングだったけど

「大好きなんだー!」

2回目の告白は大絶叫
驚いて振り向いた彼女は傘を投げ捨てた

「知ってるよ」

暴風雨に負けないようにって
僕に抱きついてくれたんだ

そうだったよね?
僕の…愛しい花嫁さん?


#懐かしく思うこと

10/29/2023, 1:07:33 PM

恋を知らない生き方をしていたら
どんな世界が
見えていたのだろうね

涙を知らない一生を
まっしぐらに淡々と歩いていた
そんな景色かな

何にしても
つまらない物語になっていたと思うよ


#もう一つの物語

10/28/2023, 11:28:39 AM

暗がりの中で天使と悪魔が喧嘩する

「んもう!明日から頑張るんだぞ?」

頬を膨らませて譲歩したのは天使だった
わたしは「ちょっとだけよぅ♡」と言いながら
深夜の冷蔵庫からプリンを取り出した

ダイエットの天敵は
気持ちを明るくさせる天使なんだよね


#暗がりの中で

10/27/2023, 11:13:39 AM

幼い頃、アールグレイの紅茶が苦手だった
鼻にスッと入ってくるような無遠慮な香りが
好ましく思えなかったんだ

「お洒落で落ち着く香りね」

レトロなカフェ
二人掛けのテーブル席にパンケーキと紅茶が並んでいた
揺蕩うのはアールグレイの香
彼女の好みだった

「そうだね」

相槌を打ちながらティーカップに口を付ける
"ベルガモット"
気持ちを穏やかにする原料なんだそうだ

好きになったのはいつからだ?
ふと考えて
彼女とファーストキスをした日を思い出した


-2nd story-


紅茶の香りが
スコーンを作りたいと思わせたのかな
それとも?
スコーンが食べたい!て思わせた食欲の秋が
紅茶を淹れさせたのかな

「あ〜美味し♡」

面前の愛しいひとがクスクス笑っている


#紅茶の香り

10/27/2023, 12:24:13 AM

結婚して幸せに過ごしてても
いつかは
マリッジリングを外してお墓に入るでしょ?

だってお別れは付き物だもん
だから
マリッジリングをお互い外すときには
『愛言葉』を決めない?

「新婚生活はじまったばかりなのに?
それ決めるの今〜?」
「うん」

帰り道、彼女は笑いながら金木犀の前で振り返った

「"金木犀"が愛言葉ね。
見る度に思い出す香りでしょ?」

皺の深まった手のひらに
今年も忘れられない金木犀の香りと愛言葉が
溢れ落ちていく


#愛言葉

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