「友達だから相談できると思ってるんだ。
訊いていい？」

バニラシェイクを飲もうとして止める

「いいけれど、どんなこと？」
「好きな子がいてね、
その子に好きかどうか訊いてみて欲しいんだよ」
「えー…他力本願？」

ぷらぷらするストローを指で弄りながら
目が泳ぐ

「他力本願じゃないよ。
今ので確信したから相談に乗ってよ。
"友達"から"彼女"なるつもりはないかな？てさ…
君の気持ちに」

目の前で舌をべーっと出す
今から"元友達"になった"彼氏"に笑った


#友達

「行かないで」

押し殺した気持ちは間違いで
素直に言えてたら間に合ってたのかな

「逝かないで」

我慢できない哀しみが溢れ出て
後悔で胸が苦しい


#行かないで

どこまでも続く青い空の向こうで
どこまでも続く雨空があるのかもしれない

笑顔のひとがいる反対側で
涙を流しているひとがいるのかもしれない

良い事とそうじゃないことが隣り合わせなんだから
取り敢えず今のポジションで

「深呼吸しよっかー！」

手足をバッと伸ばして頑張ってみる


-2nd story-


「元気かい？」

どこまでも続く青い空の下で
きみの笑顔が無限に広がっていることを
僕は切に願う


#どこまでも続く青い空

黒ばかりの衣服だったのに
白、青、グレー、チャコール…一夏終えたら
クローゼットの中は色彩に溢れていた
秋冬の衣服も実のところ黒ばかりなんだけど

「ね、ね！気になってる映画があってね、日曜日に
一緒に観に行きたいな〜って」

部屋で寛ぐ『彼女』を眺めて
これから先の季節も
カラーバリエーションが増えていきそうだなと
幸せに思った


#衣替え

声が枯れるまで泣いた
声が出なくなるまで泣いた

後悔にしないように
前へ歩けるように
あの人への気持ちを自ら断ち切った

そうまでしなくちゃ
立ち直れそうにない『大切』が
そこにはあったんだよ…


#声が枯れるまで