幼い頃、アールグレイの紅茶が苦手だった
鼻にスッと入ってくるような無遠慮な香りが
好ましく思えなかったんだ
「お洒落で落ち着く香りね」
レトロなカフェ
二人掛けのテーブル席にパンケーキと紅茶が並んでいた
揺蕩うのはアールグレイの香
彼女の好みだった
「そうだね」
相槌を打ちながらティーカップに口を付ける
"ベルガモット"
気持ちを穏やかにする原料なんだそうだ
好きになったのはいつからだ?
ふと考えて
彼女とファーストキスをした日を思い出した
-2nd story-
紅茶の香りが
スコーンを作りたいと思わせたのかな
それとも?
スコーンが食べたい!て思わせた食欲の秋が
紅茶を淹れさせたのかな
「あ〜美味し♡」
面前の愛しいひとがクスクス笑っている
#紅茶の香り
10/27/2023, 11:13:39 AM