休日を、休日として過ごした先日
目的もなく電車に乗った
毎日繰り返される毎日に嫌気が差したのか
辿り着いた先は海
開けた青と眩しい太陽を眺めた
「それで?憂さは晴れたのかい?」
友人に訊かれて首を横を振る
「いや…。慣れない場所も辛いなぁって」
砂浜に打ち寄せる波は
繰り返される毎日に似ていて
パソコンのブルーライトに慣れた目には
太陽は眩し過ぎた
「結局、自分のライフワークが一番心地良いことに気付いてしまった」
寂しいヤツだなぁと友人は苦笑いする
ポンポンッ
労う様に肩を叩かれた
-2nd story-
海へ…
わたしの"水着"も"恥じらい"も漂流する
「どっちに流されたかわかる!?」
「いえ…」
その時、晒される素肌と胸を必死に隠しながら
攣ってしまった足の痛みにも我慢していた
「掴まって。全部、背中で助けるから」
察して泳いで来た初対面の男の子
その優しさに
流されてしまった全てを救助してもらった
#海へ
『離婚』『継続』『別居』
表にはそう書かれたものが裏返しにされ
テーブルに並んでいた
「さあ、あなた。心の準備ができたら引いて下さいね」
激怒した妻を前に縮こまる
浮気は誤解だ
でも、紛らわしかったのは事実
しっぺ返しが辛い…
#裏返し
駅のホームから夏空を眺める
澄み切った青と太陽だけのシンプルな空だ
(あまりの暑さに鳥も逃げ出したのか?)
鼻でフンッと笑い、額の汗を荒っぽく拭う
熱風と共に停車した満員電車に乗り込み
参考書やノート、タブレットが詰まったリュックを
ギュッと抱きしめた
(俺は逃げないぞ…)
鳥が自由を求めて空を旋回する頃には
試験を越えて、俺は鳥のように自由を謳歌する!
-2nd story-
「俺さぁ、鳥のように捌かれて焼かれて誰かに提供されるような大人になんか、なりたくねぇんだよぉぉ」
居酒屋で焼鳥を見ながら同僚が涙した
とんでもないヤサグレ様だ…
「中生おかわりー!」
追加オーダーする同僚の小皿に
僕は自分の枝豆を山盛りに積み上げる
「うんうん。そんな日は鳥のように遠慮なく啄むといいよ」
同僚はぷぅとむくれながら「お前も仲間だぞ!」と
無理やり中生ジョッキを押し付けた。
#鳥のように
さよならを言う前に
「一杯飲んでからにしようぜ」
そう言ってグラスに酒を注いだのは
言い訳だった
「ありがとうな」
ああ、やっぱりだ…
今までの感謝を言葉にしたら
涙が抑えきれなくなってしまったよ
あの世に着いたら
美味い酒と摘みでも探しておいてくれ
話は俺が用意する
またいつか、一緒に馬鹿笑いしよう
#さよならを言う前に
曇りのち晴れ?
晴れのち雨?
実は全力で曇り!?
空模様は50%の確率を出している
彼女は天気アプリを難しい顔で見つめながら
「んー。晴れたらこれ、雨ならこうか!?」
1ヶ月前から決めていたデート予定を
50%の天気に合わせて楽しそうに組み直していた
#空模様