彼女を誘惑したアイツが許せない
だが悔しい!!
鏡に映る俺はアイツと比べると月とスッポン
がっくり…
デートよりイベントを優先されてしまった…(涙)
アイツには隙がない
俺には隙だらけ
あぁ、どうしたら!
どうしたら…
彼女を『ツイステ』から『現実』に召喚して
俺を目に映してもらえる?
「はぁ〜。格好良くなりてぇよ…」
#鏡
鞄を落としてしまった時に
教科書が入れ替わってしまったのは偶然
その相手が"気になる"と"好き"で揺れていた
男の子だったのも偶然
『問① 好きと大好きの違いは何でしょうか?』
教科書の1ページ目に
『正解、俺から君への気持ち』
教科書の2ページ目に
翌日に「ごめん」と言いながら
返し合った教科書には小さな付箋
端に手書きで"問題と答え"が添えられていた
「ごめんじゃなくて、ありがとうだった!」
"いつまでも捨てられないもの"
それは、教科書の小さな付箋と端っこのラブレター
眼前の鉄板上に、ジリジリと焼けるお好み焼き
ひっくり返すタイミングは
今か今かと迫っていた
4人の会社員は固まっている
「おい。誰がやるよ?ここでの失敗は手痛いな」
ゴクッと息を飲む
新人社員の僕の出番か?恐る恐る手を挙げた
自信なんてミリ単位だ
ヘラ(コテ)を握る手には汗もジットリと握る
「ええい!やったらぁー!」
覚悟とお好み焼きが宙を舞った
華麗に翻り、鉄板に落ちゆく様はスローモーション
「勇気がすげぇよ、新人!」
3人からの拍手が沸き起こったとき
僕は"誇らしさ"に満たされ、椅子からずり落ちた
月明かりだけが海面を照らし
波は銀色にさざめく
岩礁に座る美女が優しく笑むのは、夜の海
『あら、歌を聴きに来たのね?』
重ねた唇も抱き合う体温も
海に潜む魔物は
痕跡すら残さず喰らうという
「好きだと言わせてくれよ」
「お前、狡いだろ…」
歌声は惑わす
朝になれば海の藻屑になるのよ、と
『それでも良いの?
寄せては返す波のようにはいかないわ』
許されない恋のゆくえは
深海の闇へ
#夜の海
冒険に憧れた
少年時代の甘酸っぱい思い出のひとつだ
"自転車"は旅の相棒
俺の反抗期は
ペダルを漕いで向かい風に逆らいながら
道なき道を全力疾走
無我夢中で走り抜けた
「並走できたし僕も楽しかったけれどね」
パンクした自転車を整備しながら、今の相棒が笑う
#自転車に乗って