6/29/2023, 11:07:25 AM
「たか、折り畳み傘くらい持っておいき!」
「え〜?ばあちゃん、外めっちゃ晴れて夏日だよ?」
「ほらほらぁ」
無理やりリュックの中に詰め込まれた折り畳み傘と
夏空にわたあめみたいな入道雲。
もう昔のことだけど、
ばあちゃんの一声があった夏の帰り道は
必ず雷雨だった。
6/28/2023, 1:02:06 PM
早起きした日は小説本を片手に家を出た。
小道のベンチに座り、本を開くのが楽しみで日課で。
朝は木陰と涼風。
昼は木漏れ日と蝉の声。
夕方は帰り道が橙色。
じっとりと汗をかいた額に
冷たいペットボトルが当てられ
仕事帰りの母の声はいつも笑っていた。
「あんた、また朝から本の虫?」
母はもう居ないけれど
夏の思い出は…暑さと共に残る。
6/27/2023, 11:16:31 AM
"ここではないどこか"
行ったところで
弊害やストレスだってあるんだろ?
『タラレバ』なんか信じない。
夜行列車に揺られながら
強く抱き合って深くキスをする。
俺と兄貴の恋を…、邪魔するな。
6/26/2023, 11:17:46 AM
食卓には冷めたカレーライスと『さようなら』のメモ。
"笑顔がぎこちなかった"
一瞬の違和感は君からの合図だったのに
多忙を理由に気付けなかった。
#君と最後に会った日
6/25/2023, 12:47:31 PM
ハイビスカスは派手なイメージの花だけど
花言葉は『繊細な美』
真っ赤な口紅を指でなぞり、鏡を見る。
舞台の上に立つ僕は
二人の兄に恋をして二人の兄に愛される令嬢だ。
「スタンバイお願いします」
ハイビスカスは理想の華。
ドレスをふわりと揺らし、スタッフの声に艶然と頷いた。
#繊細な花