6/28/2023, 1:02:06 PM
早起きした日は小説本を片手に家を出た。
小道のベンチに座り、本を開くのが楽しみで日課で。
朝は木陰と涼風。
昼は木漏れ日と蝉の声。
夕方は帰り道が橙色。
じっとりと汗をかいた額に
冷たいペットボトルが当てられ
仕事帰りの母の声はいつも笑っていた。
「あんた、また朝から本の虫?」
母はもう居ないけれど
夏の思い出は…暑さと共に残る。
6/27/2023, 11:16:31 AM
"ここではないどこか"
行ったところで
弊害やストレスだってあるんだろ?
『タラレバ』なんか信じない。
夜行列車に揺られながら
強く抱き合って深くキスをする。
俺と兄貴の恋を…、邪魔するな。
6/26/2023, 11:17:46 AM
食卓には冷めたカレーライスと『さようなら』のメモ。
"笑顔がぎこちなかった"
一瞬の違和感は君からの合図だったのに
多忙を理由に気付けなかった。
#君と最後に会った日
6/25/2023, 12:47:31 PM
ハイビスカスは派手なイメージの花だけど
花言葉は『繊細な美』
真っ赤な口紅を指でなぞり、鏡を見る。
舞台の上に立つ僕は
二人の兄に恋をして二人の兄に愛される令嬢だ。
「スタンバイお願いします」
ハイビスカスは理想の華。
ドレスをふわりと揺らし、スタッフの声に艶然と頷いた。
#繊細な花
6/24/2023, 1:17:00 PM
「驚け。俺の余命は1年あるかないかだってさ」
親友が何でもないような顔をして告知したのは昨日。
ばっかだなぁ。
誰も1年先の事なんてわからないんだぞ?
交通事故に遭って何本あるかわからない点滴に繋がれ
動かない身体で天井を見上げる。
途切れ途切れの意識の中で
『僕の方が天国に近そうなんだけど…』
親友に言い返してやった。ほら驚いたでしょ。
#1年後