[この道の先に]
知らないうちに歩き始めていた道
止まりたいと思うことも
歩みを進める一歩になっていた
後戻りしていると思ったときも
戻れてなんていなかった
何も出来ていなかったときですら
進み続けていた
それは当たり前で
癖のようなもので
無意識に進み続けてしまうほど
楽しい行為なのか、自分に聞いてみたい
それとも、目当てはその先にあるものか
その先にあるのは行き止まりのはずなのだが
やはり進まないと耐えられないほど楽しいのか
とすると先にあるものが行き止まりだなんて
皮肉にもほどがある
きっと、行き止まりを目指しているのだ
きっとそうだ
止まりたいと思っても進んでしまうのも
きっとそういうことなのだ
少し足取りが軽くなった気がする
あぁ、今から辿り着くのが楽しみだ
[日差し]
窓辺で友達と話す君。
キラキラ眩しくみえたのは
照らされているからってだけで。
別に、
[窓越しに見えるのは]
「あー、痛…。」
ずっとスマホを見て
凝り固まった首をぐるりとまわす。
下を向いていた目線を上げたその時。
ふと飛び込んできたのは、
白かった壁があかく染まった姿だった。
自然と窓へ目線が動く。
「あ、」
1番最初に浮かんだ言葉は、綺麗、だった。
隣の家もあるし、窓もそこまで大きいわけでもない。
しかしその間から、
あかとむらさきと少しのあおが、
やわらかく、つよく、部屋の中までもを
照らしていた。
そしてそれは、じわりと
目と頭の中に広がっていく。
「……。」
目線は窓のまま、
手から離しかけていたスマホを持ち上げる。
パシャリ
「…下手くそ」
見比べるも、やはり自然のそれを閉じ込めて保存するなど、そんなに簡単ではなかった。
しかしまあ、これを見て、
頭で思い出すことができたなら
それでいいのだと思い、
視界の窓に並べて伸ばしていた腕を下ろした。
もう少し見上げていたい気もしたが、
その光に染まった部屋にいるだけで満足だ、と思う。
目線も下り、手元に向かう。
しかし、初めより少し高い位置で。
白かった壁の変化に気づけるように。
[赤い糸]
もし、赤い糸が見えていたのならば。
簡単に諦めもついていたのだろうか。
もし、赤い糸が見えていたのならば。
こんなに絡まっていなかったのだろうか。
もし、赤い糸が見えたのならば。
貴方より先に、貴方の運命の相手を探せたならば。
もし、赤い糸が見えるのならば。
貴方が気づく前に、その糸を切れるのならば。