蝙蝠

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6/29/2023, 3:32:38 PM

無機質な声 猛暑日だと語る
蝉の合唱団 街路樹でのコンサート
古いチャリで 下り坂
落っこちそうな 3人乗り
まだ地平線は 遠い

視界を染めた 群青に
降りたチャリは 熱かった
麦わら帽子を 追い掛けて
風と駆ける

脆い城の滅亡を
眺めて舐める 氷菓子
入道雲が空游ぐ

夕焼けを背に
肩を並べ 電車に揺られ
忘れたチャリを 口実に
来年の夏 約束をした
                お題【入道雲】
           タイトル【あの夏の日が】

6/17/2023, 3:32:48 PM

暗く淀んだ 現世をみては
空の筺の中には 残らずに
天に隠れた 一欠片の希望

高くそびえた 大樹の上で
遠き蒼が染まりし時を ただ見ゆる
あの暁に 託す願いを

変わらず廻る 輪廻の内で
嗚呼 過去を未来も
ただ繰り返すだけ
平和の世を 待ちぼうけ
                 お題【未来】
            タイトル【筺の中身は】

6/13/2023, 4:24:27 PM

夜の音に 息を溶き
貴方の鼓動に 身を寄せる
眠らぬ街 艶やかに笑う声

夜空と踊る 星の子達よ
照らす 肌は陶磁器のやう
はだけた着物に 泳ぐ目が
妖しい瞳に 囚われて

月が綺麗ですね
唐紅に染まる口元 紡ぐ静かな言の葉は
月は手の届かぬから美しい

嗚呼 まだ夜半ば
朝は遠く
               お題【あじさい】
              タイトル【香り玉】

6/9/2023, 3:31:16 PM

仄暗いBAR 蓄音機の歌声
照らす明かりに 映る影
琥珀色に浮かぶ 透明な球
猫の欠伸 両隣の人影

冷えた琥珀を煽る
思い出の味より 甘く
自嘲気味な笑みを乗せる

遠く カメラのシャッター音
3人の世界を閉じ込めて
泣き止んだ空は 朝焼けに染まる
             お題【朝日の温もり】
           タイトル【モノクロ写真】

6/5/2023, 3:37:49 PM

引かれた手の先 真っ暗闇
底なし沼に溺れゆく
自尊心 或いは理性か
漏れ出す光に 知らぬふり
違えた道は 知られぬままで

訪れは ハーモニカの音色
帰るのは 待ち人がいる谷
セカイが色付いたのは
キミが待つ場所に 帰れるから
近付く居場所
ただいま その一言で

冷めぬ熱
まだ夢に浸かっているやうな
妙に冴えて 廻る思考回路
もう一度 またいつか
そんな言葉で 願う
ある真夜中の記憶

零れ落ちる 言の葉と
また伝えられぬ 真の言の葉と
たった百年とは言えぬ 長い年月
今日も又 雪が降る
眼下に広がる見慣れた景色
もし目覚めたならば
遠い昔の 言の葉を
皮肉と共に 伝えてみようか

不快音 不味い味
憑いた不快は 剥がれずに
独りで縋った 24時
遠き記憶の アオイハル
夢はいつでも 幸せ止まり
          お題【誰にも言えない秘密】
            タイトル【五つのSOS】

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