星の綺麗な夜でした
冷やされた硝子 指先から伝わる
澄んだ空気は 頬を撫ぜてゆきました
窓越しに 濁る街灯の灯り
此処を牢獄に思わせるには 充分な程
この文は いつか誰かに届きませうか
遠く遠くの街の誰かに
問いに答えず
夜明けの合図で 飛び立った
誰も知らない遠くの街へと
お題【遠くの街へ】
タイトル【小瓶】
回る 回る
どれほど迷うか いざ知れず
惑い 惑わせ
日は暮れた
標識の 曲がったことを知らぬまま
時は無情に 針も無情に
回る回る
壊れた オルゴール
外れた音に 耳澄ませ
世界が新たに生まれる音
其れは聞き馴染んだ 音
お題【現実逃避】
タイトル【箱庭の崩壊】
ゆうゆりと 風は踊る
波紋が広がる 水面の上は
闇色の 真鯉が滑る
なめらかに
ゆうゆり ゆらりん
木葉舞う
軽やかに 踊る
君は今
見えぬ誰かに 身を委ね
夜を踊る
お題【君は今】
タイトル【月下のワルツ】
永遠の眠り 甘い接吻
ハッピィエンドを迎えない 物語
語り手に告ぐ
見よ 世界はきっと美しい
物憂げな空を晴らす様に
酒を煽る
木が鬱蒼と茂る森の中 梟が悲しげに歌を紡ぐ
冷たい姫 夢に沈む王子
お題【物憂げな空】
タイトル【心中】
代償は 大切なモノでなくては
星一つない 暗闇に浮かびますは
月 これを誰が呼んだか孤月と言いまする
仄暗き感情
師と仰ぐ者 憧れ
誰も見向きもしない こんなモノ
貴方の 大切が救われるなら
喜んで 捨てましょう
悪魔が青年を一瞥する
くるり背を返す
うっそりと 嗤いを浮かべたはどちらか
否 両方やも
お題【小さな命】
タイトル【まだ春は遠く】