まんまるフォルム、フチが緑のマグカップ。
陶器なのでちょっと重いけれど、安定感もあり大容量。
IKEAで出会い一目惚れをして、持ち手の部分にぽつんと点がついた、ほくろのある子を選びました。
ひとやすみのとき、本を読むとき。それから仕事で頑張るとき。たっぷりと熱い紅茶を淹れて、かたわらに置く。
そこにあるだけで元気が出るのです。
買ってよかったなあ。
よく晴れた日の、穏やかな午後。
あなたの膝枕に甘えて、心地よい惰眠を貪っている。
わたしは知っていた。わたしがこうしてあなたの膝で眠ると、あなたは決まって上機嫌で鼻歌を歌うことを。
それがどんな曲なのかはさっぱりわからないし、歌詞だってもちろん知らなかった。けれど、それを歌うあなたの声はいつだって愛らしくて、優しくて、あたたかい。
すこうしだけ目を開けてあなたを見上げれば、あなたはそっとこちらを見て、細い指先でわたしの髪を撫で、やわらかく微笑んだ。
何度も聞いているすてきなメロディを、あなたといっしょに口ずさむ。どんな歌であっても、わたしにとってこの鼻歌は、間違いなくあいのうた、なのだ。
もしも願いが1つ叶うならば、
わたしがどこで間違えてしまったのか知りたいのです。
あなたがはなれていった原因を知りたいのです。
でも、ほんとうはもう知っているのです。
受け入れがたい現実から目を背けているだけなのです。
ああ。せっかくの願い事、
無駄になってしまいましたね。
ずっとずっと、あなたのことを可愛いと思っています。
すれ違いざまにそっと視線を向けると、たまに気づいてくれたりして、とっても嬉しくなります。
栗毛をふわふわとご機嫌に揺らして歩く姿を見かけるたび、幸せな気持ちでいっぱいになります。
そう、あなたのことです。
人懐こいおめめの、そこのあなた。
丸めたしっぽの、そこのあなた。
まろまゆの素敵な、そこのあなた。
柴犬さん、癒しをありがとう。
ひとは、死を迎えたあともほんの少しの間だけ、周りの声や音が聞こえているという。
ああ、果たしてそれは本当だった。
君の声がする。
悲しそうで寂しそうな、君の声がする。
ひとは、何かを忘れてしまう時、声や音から忘れていくという。
君は僕の最期のことばを、憶えていてくれるだろうか。