放課後
忘れもしない。
初夏の妙に蒸し暑い日の事だった。
なんとなく屋上に上がって扉を開ける。
一気に差し込む光に、しばらく視界が真っ白になった。
暫くして、周りが見えた瞬間、俺は目を見開いた。
靴を脱いで、屋上の下を見つめるショートカットで不揃いのスカートを履いた女の子がいるではないか。
助けなければ、そう思っているはずなのに体は動かない。
そんなことをしている内にも女の子は飛び下りそうだ。
動け、動け、、、、!
やっとの思いで動いた体。それと同時に女の子は振り向き、、、、笑顔。
浮遊感。浮く体。揺れる制服。目が合う。女の子。また笑顔。
何だよ、善人が救われるなんて嘘じゃッ(グシャ
良かった。引っかかってくれて私は何回目かもわからない光景を見つめ、静かに屋上を去った。
次は君かもよ?
カーテン
シャラリと音をたてて開くカーテン。
太陽の光に照らされる白のカーテンを纏う君。
そんな君を見て、見惚れる僕。
学生時代、教室のカーテンをドレスのようにして、遊んでた君。
それを、隣に立ちたいという無謀な望みを持ちながら通りすぎてゆく僕。
実現する事は簡単だったはずなのに、態々僕を選んだ哀れな君。
哀れなんて周りに思われない位に幸せにする事を
決意する僕。
神父の言葉。誓いますの決意。カーテン、いや、ベールを纏う君。タキシードを着た僕。
涙、笑顔、拍手、祝福。
「僕たち、結婚します。」
涙の理由
ぽたぽた、アスファルトに止めどなく水玉模様を描いてゆく君の涙。
それとは反対に真っ赤になってしまった俺の頬。
君の涙をみた瞬間、その涙の理由がどうしてもわからず内心困っていた。
理由を聞くと、俺が他の女と歩いているのを見てしまったらしい。
困ったな、俺は君一筋だと言うのに。
、、、思い出した、多分俺の妹だろう。君はどうやら勘違いしてたみたいだ。
それを聞くと、驚いたような顔をする“彼”
そう俺たちはいわゆる同性カップル。
周りには反対も賛成もされていなかった。
すぐにまた泣き出す君。
今度はすぐに、その涙の理由がわかった。
「安心、嬉しい」
涙だけでなく、顔にも浮かんでいるその気持ち。
俺は君を抱きしめ、心からの笑顔を浮かべた。
「愛してる。」
ココロオドル
るんたった。
るんたった!
今日は不自然なくらい楽しい!
お母さんも踊りすぎて涙を流して眠っちゃった!
お父さんじゃない男の人は急いで帰ってっちゃった
外から赤い綺麗な光が照らされる。
窓から入り込んだ光が室内の赤を照らす。
視界がぼやける。
嫌だなぁ、お母さんは私の笑った顔が好きなんでしょう?
ねえ、お母さん、おきて? 私の笑顔みて、いつもみたいに笑ってよ?
おかあさん。
後日談
お母さんが亡くなった女の子、あの後亡くなったんでしょう?
かわいそうね、、、
不自然なくらいに、笑顔だったみたいよ。
そうなの?不気味ね。
「ココロオドル。るんたった♪、、、次はだれかなぁ?」
束の間の休息
息を吐き、目を閉じる。
何故か疲れた私は動く事すら億劫になる。
部屋の外から聞こえてきたヒステリックな声。
「あんたにどれだけ金かけたと思ってる!」
「産まなきゃ良かった!!こんなやつ!!」
うるさいなぁ、こっちだって頑張ってンだよ。
「うるせぇ!!ババァ!!」
「黙ってろ!!」
こんなやり取りを、毎日聞いていると、ハムスターでも、鬱になりかけるな、、
そんなことを思いながら、ペットの私は、はむりとひまわりの種にかじりついた。