踊るように
素肌にじわじわとスポットライトの熱が刺さる。
周囲の視線と相俟って、全身が痛い。
私は足脚を動かす。
ステップを踏んで、隣国の、王子様とワルツを踊る。
張り付けた笑顔、滲む冷や汗、
自分が、何者なのかわからなくなる
自分が溶けていく感覚
目から溢れる涙は誰を想うものか
私には考える余地もない、
(テーマから、少しずれている気もしなくもないような……)
心の灯火
果たしてそれをどう灯そうか。
私が灯しても良いけど、せっかくだし貴方でも良いかもね。
心が暖まる感覚、私は好きだ。
いつ消えてもおかしくない
私の灯火。
けれど、また、灯してくれる貴方がいるなら、
安心できるかな。
いつかは尽きるその時まで
大切に優しく扱ってよね。
香水
たしか、貴方は香水の匂いが苦手だったよね。
刺激的な香りは特に嫌がってた。
だから勿論、貴方はつけない。
私も、特別な日以外殆どつけない。
暗転?
出張お疲れ様。汗と混ざり合った卑猥な臭いを漂わせて、
さぞ、愉しかったようだね。
身体も、もう少しさ、洗ったほうが良いんじゃない?
臭いよ
何度か看過してあげたけど、無駄だったみたいだ。
私たち、おわりみたい。
さようなら、
私はあの日から、香水の、あの、独特の香りが嫌いになった、
言葉はいらない、ただ…
行動で示してほしいと思うだけ
突然の君の訪問。
突然、玄関のチャイムが鳴った気がしたので、取り敢えず、確認をしにいった。
今は、午前二時過ぎで、こんな夜更けに、誰が何用かと不思議に思いながら、玄関ドアの覗き穴を見てみたら、若い女の人が立っていた。
髪はロングで腰にとどきそうな長さで、服装は真っ黒なワンピースだ。顔は下を向いていて、よくわからなかった。
自分は何を思ったのか、そのまま、ドアを開けてしまった。身体が勝手に動いたのだ。
自分は、どうしたのか、何かあったのかをその女性に問いた。返事を待ったが、彼女は俯いたままなので、立ち話は何だと思い、部屋に招くことにした。
数分、沈黙が続いた。が、ついに、女性のほうから言葉を発した。
話を聞くと、どうやら私に関する、私には身に覚えのない事ばかり話し始めた。そして、彼女は、自分と、恋仲だと言い始めたのだ。
しかし、私は本当に身に覚えがないのだ。
そのまま話を聞いていくと、少しばかり、頭が痛くなってきた。ぐわんぐわんする。
けれど、彼女は話を続けている、ずっと口を動かして、次第には涙を流しながら。ずっとずっと。
私は驚いてあたふたしてしまったが、ひとまず、ティッシュを渡した。
すると、フラッシュバックというのだろうか。
次々に彼女との思い出がよみがえってきた。
そして、気づけば私も、一つ二つと涙を流していた。
そうだ。彼女の名は「あいな」。私の初恋の人。
私は先々週事故に遭い、激しく頭をぶつけ、記憶障害を患った。
ああ、思い出した、全部、すまない「あいな」。ずっとそばにいてくれてたのだな。
私たちはお互いぐちゃぐちゃに泣きながら抱きあった。
記憶を取り戻したきっかけは、多分、印象が強かった記憶。大切な出会いだったから。
ある日、道の端で泣いていた彼女にティッシュを渡したのが私たちのはじまりなのだ。
―――
話を書いてて思ったけどこんな、深夜に来ることってあるのか?