NoNameという名前

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突然の君の訪問。

突然、玄関のチャイムが鳴った気がしたので、取り敢えず、確認をしにいった。 
今は、午前二時過ぎで、こんな夜更けに、誰が何用かと不思議に思いながら、玄関ドアの覗き穴を見てみたら、若い女の人が立っていた。
髪はロングで腰にとどきそうな長さで、服装は真っ黒なワンピースだ。顔は下を向いていて、よくわからなかった。
自分は何を思ったのか、そのまま、ドアを開けてしまった。身体が勝手に動いたのだ。
自分は、どうしたのか、何かあったのかをその女性に問いた。返事を待ったが、彼女は俯いたままなので、立ち話は何だと思い、部屋に招くことにした。

数分、沈黙が続いた。が、ついに、女性のほうから言葉を発した。
話を聞くと、どうやら私に関する、私には身に覚えのない事ばかり話し始めた。そして、彼女は、自分と、恋仲だと言い始めたのだ。
しかし、私は本当に身に覚えがないのだ。
そのまま話を聞いていくと、少しばかり、頭が痛くなってきた。ぐわんぐわんする。
けれど、彼女は話を続けている、ずっと口を動かして、次第には涙を流しながら。ずっとずっと。
私は驚いてあたふたしてしまったが、ひとまず、ティッシュを渡した。
すると、フラッシュバックというのだろうか。
次々に彼女との思い出がよみがえってきた。
そして、気づけば私も、一つ二つと涙を流していた。
そうだ。彼女の名は「あいな」。私の初恋の人。
私は先々週事故に遭い、激しく頭をぶつけ、記憶障害を患った。
ああ、思い出した、全部、すまない「あいな」。ずっとそばにいてくれてたのだな。

私たちはお互いぐちゃぐちゃに泣きながら抱きあった。
記憶を取り戻したきっかけは、多分、印象が強かった記憶。大切な出会いだったから。
ある日、道の端で泣いていた彼女にティッシュを渡したのが私たちのはじまりなのだ。




―――
話を書いてて思ったけどこんな、深夜に来ることってあるのか?

8/29/2024, 2:58:20 AM