扉を閉ざされれば、誰にも邪魔させることはない
ちらちら覗いたり
その日の天気や、できごと、気持ちを書き、見せつけてくるアイツもいない
静かで居心地が良い
とはいえアイツは私と瓜二つで
好きなこととか、思うことも一緒で
なかなか憎めないヤツだ
私がニッキと呼ばれていることも
ひらかれるのが夜に決まっているのも
どことなく気分が良いこと
アイツと私と
ここで共有したことは二人の秘密なのだ
アイツのことを一番知っているのは私
ニッキが留守番をしている限り
アイツのあらゆる書き物は私だけのものなのだ
他のヤツは見るんじゃない
それにしてもそろそろ来てもいいではないか
アイツめ
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►閉ざされた日記
日記の中の人(?)はツンデレさんでした
独占欲も強め
割れて
こぼれて
削れて
落ちる
崩れて
とけて
散って
輝く
そこはかとなく冷えて
このうえなくかたい
美しいいしよ
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►美しい
穿ちたい程
サナギの中で液体になって蝶になるように
あなたの姿は自由で
月の裏側を探査する人がいるように
あなたの影は夢をいだかせる
水滴に垂らされた絵の具が花ひらくように
あなたは奔放で
風を捉えた髪がなびき乱れるように
あなたは姿を変える
どうして、わたくしごときがあなたを捕らえられようか
時に柔く、冷たく、儚く、しなやかで
美しきあなたを
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►どうして
長編物語の主人公ならこういう人がいそう
この世は夢
たましいが踊る場所
夢に酔い狂い、躍り咲く
夢に微睡めば現実が迫り来る
水鏡に現し世がみえる
骨肉が還る場所
夢から醒めれば蓮池のひろがる世界
海の彼方常世の国
あと少しだけ、もう少しだけ
潜り溺れていたい
君と夢を見ていたい
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►夢を見ていたい
100周年記念の映画曰く
一人ひとりの夢を星はみているらしいですね
寒さが身に染みて
我が躰の輪郭が明瞭になる
世に切り分けられた殻として
臍の緒を切り独りになる
柔肌に熱き血潮満ちて
我が身の界が不明瞭になる
太古の海に湧出し
静に眠り一つになる
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►寒さが身に染みて
肌が緊張していて、輪郭がはっきりする気がします