やるせない気持ち
ああ、きっともうどうしようもないのだろう。
何もできないまま、進むことも、戻ることもできず、立ち止まって、うずくまるだけ。
ねぇ、もうどうしようもないんだよ。
心の奥底で嘲るように笑う自分がこちらを見ていた。
海へ
「世界のさ、果てに行ってみたかったんだよね」
「……ん?」
「世界の果ては一体どこだろうって考えて、思い浮かんだのが海だったの」
「ほう?」
「だからね、海へ行ってきたの」
「それで?」
「世界の果てだと思ったのに、果てじゃないんだって」
「ふむ」
「はじっこですらなくてさ、ただただ世界は続いているだって」
「うん」
「……最果ては、ないって」
「……」
「じゃあ、お母さんどこに行っちゃったんだろう」
裏返し
好きだと言えば、嫌いが返ってきた。
好きの裏返しは嫌いか、なんてよく言うけれど、どうせその裏側とかいうものが何なのかなんて見えないし、わからないのだ。
その裏側には本当は何もないのだと、そのことを知ったら、君はどんな顔をするだろうか。
鳥のように
飛べたら、よかったのだろうか。
それとも、比翼連理のように君と一つになれたら、よかったのだろうか。
いや、やっぱり飛べたらよかったんだ。
だって、君を突き落としたとしても、君と共に落ちようとしても、私はただ助かりたかっただけなのだ。
ねぇ、私はそんなひどい人だよ。
だから、どうか、恨んでよ。嫌ってよ。忘れてよ。
さよならを言う前に
ごめんねも、ありがとうも、伝えておけばよかったと今さらながらに思うんだ。
君の笑顔が大好きなことも、笑い合っているときが幸せだということも、全部全部、思ったときに伝えておけば、きっとこんなにも後悔することはなかったんだろう。
別れはいつだって唐突で、突然で、あっさりとやって来る。そのくせ、こちらに準備をさせてはくれないから。
だから、さようならを言う前に、君に伝えたい気持ちを全部込めて、そっと別れを告げるんだ。