『閉ざされた日記』
「雨の日の土曜日。
特にすることもない。
押し入れの片付けでもするか。
私の思い出がどんどん出てくる押し入れ。
今日は何が出てくるだろう。
5ページくらいで終わっている日記がでてきた。
お決まりだ。いつも出てくる。
つい読んでしまって、押し入れの半分も掃除できない。
カクカクの汚い字。文が変だし、内容もおかしい。
私はそれが嫌だった。
きれいな字で、完璧になっている状態を誇らしげに思えることだと思っていた。
だから、見つける度、読み返したあとはゴミ箱に捨ててしまう。
なんで捨ててしまったのだろう。
続かないと分かっているのにふと描きたくなって数ページで終わる。
今思えば、すごく、立派な思い出だ。
私は後悔している。
だからこの日記も残しておきたい。」
そう、日記の最後のページには書いてあった。
これが初めて一冊書き終えた日記。
書いた時に、絶対に捨てないと決めたのを覚えている。
今はもう書いていない。
久しぶりに書いてみようか。
閉ざされた日記を開く時が来たんだ。
〈フィクション〉
『木枯らし』
久しぶりの木枯らしの風が吹く。
寒そうだ。
でも、私からしたらどうだろう。
いつも暑くなってしまうから履けない中がモコモコのブーツ。
新しく買ったけど、今年は暖かくて着れていないロングコート。
ミニスカが履けるようにと買った裏起毛タイツ。
男を一発で仕留められるような可愛いマフラー。
両側の耳が私の好きな色のふわふわに塞がれる。
嬉しいな。
人それぞれ感じ方が違う。
木枯らしも、寒いけど良い日になりそうだ。
『美しい』
女優を目指す私の娘。
姿勢が美しくないと。
言葉遣いを美しくしないと。
心を美しくしないと。
毎日個性を押し殺して生きてきた。
だけど、今は違う。
舞台に立つ時は、みんな自分だけの魅力があって、個性がある。
「ああ。美しいなぁ。」
どこからかそんな声が聞こえる。
〈フィクション〉
『この世界は』
この世界は神様が操っている。
だから絶対逆らえない。
神様の言うことを聞け。
古くからの伝説。
何か、どうせと決めつけていることがある。
絶対出来ない。無理と。
それは神様がいるからなのか?
100%中99%がそんなはずない。
死ぬ気で努力したのなら絶対報われる。
神様は良い奴だ。
人に良くしてるものは少しずつ幸せをくれるだろう。
今日は早起き出来た。
今日コケなかった。
たまたま遅刻したのに先生が来ていなかった。
よく行く八百屋さんからオマケにみかんを貰った。
1000円札が落ちていた。
どんどん増えていくんだ。
なんで僕はお金持ちじゃなかったんだろう。とか思ってる場合じゃない。
この世界はどれだけ自分が幸福を味わえるかだ。
お金が無くても一生の友達が出来たら僕は幸せだ。
この世界は不平等で上手くいかないところ。
だけど、悪くはないだろ。
〈フィクション〉
『どうして』
どうして産まれたの?
どうして生きているの?
どうして悲しくなるの?
どうして完璧になれないの?
どうして死んじゃうの?
どうして地球はあるの?
この星には不思議が山ほどある。
納得いかないこともあるだろう。
だからポジティブに生きてみろ。
平和で便利な町に産まれて良かった。
生きてるから美味しいものが食べれるんだ。
悲しいから立ち直るのも簡単になる。
完璧だったらこの悔しさを友達と味わえない。
死ぬまでに幸せなんて沢山ある。
地球がなかったら今なんてない。
ずっと真っ暗だ。
今生きているだけでいいんだ。
疑問なんてぱぱっと終わらしちゃえ!
そっちの方が楽だろ。幸せだろ。