『閉ざされた日記』
「雨の日の土曜日。
特にすることもない。
押し入れの片付けでもするか。
私の思い出がどんどん出てくる押し入れ。
今日は何が出てくるだろう。
5ページくらいで終わっている日記がでてきた。
お決まりだ。いつも出てくる。
つい読んでしまって、押し入れの半分も掃除できない。
カクカクの汚い字。文が変だし、内容もおかしい。
私はそれが嫌だった。
きれいな字で、完璧になっている状態を誇らしげに思えることだと思っていた。
だから、見つける度、読み返したあとはゴミ箱に捨ててしまう。
なんで捨ててしまったのだろう。
続かないと分かっているのにふと描きたくなって数ページで終わる。
今思えば、すごく、立派な思い出だ。
私は後悔している。
だからこの日記も残しておきたい。」
そう、日記の最後のページには書いてあった。
これが初めて一冊書き終えた日記。
書いた時に、絶対に捨てないと決めたのを覚えている。
今はもう書いていない。
久しぶりに書いてみようか。
閉ざされた日記を開く時が来たんだ。
〈フィクション〉
1/18/2024, 2:10:34 PM