あなたに届けたい。
この憎しみ。この苦しみ。
あなたに届けたい。
この胸の高まり。愛情。
ねえ、届けるにはどうすればいいかな?
私はあなたの骨壷から遺骨を取り出して、その中でも一番小さい礫にキスを落とした。唇をこじ開け、口内で転がす。奥歯で噛み締める。
パキリ
どんどん小さくなっていくあなたの欠片。
ごくっ
私はそれを飲み込んだ。鋭いエッジが確かに私の喉をなぞり、傷つけていく。
痛い。
ああ、死んだ後ですらあなたは私に微かな痛みを残していくのですね。
あなたに届けたい。
この憎しみ。この苦しみ。
あなたはどんな顔をして受け取ってくれるのでしょうか。ねえ、お願い。こっちを向いて。
愛していますよ
今日は愛について考えてみようと思う。
私は愛が好きだ。人を愛するのが好きだ。人に愛されるのが好きだ。私は愛が好きだ。
私は愛を差別と定義している。愛していない存在を差別しているのか、愛している存在を差別しているのか、正確にはわからなかったけど、確かに愛は差別で、私は差別を愛していた。
私は愛を理解と定義している。私は理解が好きだ。相手を理解することも、理解してもらうことも愛だと思う。理解は愛だ。相手のことを理解しようと踏み出す一歩が愛だ。相手を理解しようと立ち止まり、相手のことを考えて時間を無駄にする。これが愛でなかったならば何が愛なのだろう。
理解は美しい。とても美し井。理解は愛というより、私は理解を愛しているのかもしれない。受容と共生も美しいだろう。素晴らしい、人間は理解し合うことができる。なんて美しい生き物なのだろうと、私は常々思うのだ。
街へ行こうと思った。
それは家の人がみんな寝静まった頃。パジャマに一つコートを着て、サンダルを履いて、私は夜の世界へ飛び出した。私の知らない、いつもの街からは想像もできない美しい世界が広がっていることを期待して。
私は歩いた。途中で、サンダルの踵が外れてしまったので、裸足で歩いた。まだ寒い。
春の始まりを予感させつつ、まだまだ気温は低い夜だった。桜並木を通る。美しい桜が咲くはずの木には、何も残っていなくて。いや。よく見たら花の蕾が芽吹いている?確かに、春の足音は聞こえてくる。ような気がするんだ。
枯葉を、裸足で踏んづけた。パリッと軽快な音がした。街へ行こう。そう思った。
優しさとはなんだろう。私にはよくわからない。
でも、これは優しさではないか?というものはいくつかある。
例えば、車道側を歩いてあげるとか。転びそうになった時、助けてあげるとか。転んだ人に声をかけるとか。ああ、これは私が優しくしてもらった記憶だろうか。それとも、あなたにした優しさだろうか。
今となってはわからない。私にはわからないことがたくさんあった。この胸の痛みに名前があるのかすらわからない。きっかけだってわからない。ただ、あなたに優しくするたびに、私の心は満たされていったのは感じていました。あなたがいなくなってから、私の心は痛み続けているんです。
返してください。あなたが奪っていった私の穴を。
私の心をドーナツ状にしてしまった責任を、あなたは取るべきだと思うのです。