明嬢

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3/30/2024, 12:27:13 PM

誰だって人生で一人くらいはとても大切でずっと離れたくないと思う友達がいると思う。
私にはまだいないけど。
でも、私はある人のそういう友達の一人に入っている…気がするのだ。
ある人とは高校で仲良くなった友達の咲苗だ。咲苗は普段は教室の一番端っこの席で静かに読書をしているような雰囲気を持つ女の子だ。でも、別に読書をしているところを見たことがあるわけではない。

朝、教室に入ると参考書を広げてペンを走らせている。でも、私が来たことが分かるや否やすぐに道具を片付けて私のもとへやってくる。そしてにこりと「おはよう」と声をかける。移動授業のときも、私のもとへやってくる。これらは普通の友達ともやることだから、まだいい。
しかし、彼女は妙に距離が近いのだ。
女子って距離近いよね、なんてものじゃない。
ハグは普通だが、移動するまでずっとホールドされている。移動しているときは、肩がずっとくっついている。ご飯を食べているときも向かいから足を絡めてくる。
明らかにおかしい。
まわりを見てもここまでくっついている人達はいない。

最初は何も思わなかったが、別の友達に指摘されてよくよく観察してみると確かにおかしいと思い始めた。でも進級まであと少しだし、まあいっか。そう思った。
だんだんと修了式が近づいてきた。咲苗は「離れたくないよぉ」と口癖のように言い始めた。
ハグしてるときには頭をグリグリと背中に擦り付けたり、移動授業のときは腕を絡めてきたりと距離もより一層近くなった。

修了式当日、校長先生のながーい話を聞き終え、HRが終わり、本当に離れるときが来た。
「また同じクラスになれると良いね」
咲苗はそう言って、それじゃあまたねと手を振り帰っていった。あんなに、離れたくないと言っていたわりには、あっさりとしていてこちらが拍子抜けしてしまった。

春休み、家から出ることもなくダラダラとしていたが、たまには外の空気を吸いなさいと半ば無理矢理に母に追い出された。
とぼとぼ歩いていると、彼女がいた右側が空いていて寂しく感じる。何気ないフリした彼女のあの行動に依存していたのは私だったのかもしれない。
ヒラヒラと桜の花びらが目の前で舞う。
その光景に春を感じる。
そっと花びらを捕まえて祈る。
また同じクラスになれますように。

『桜に願う』

3/29/2024, 12:54:22 PM

物語は大抵がハッピーエンドだ。
紆余曲折あって、大体ハッピーエンドで終わる。
そっちの方が、大衆が幸せな気持ちになれるから。

でも、本当の人生はハッピーエンドとはほど遠いものだ。
ものは考えようだが、それでも最期に幸せな人生だったと言える人はいるのだろうか。
自分の人生がハッピーエンドではないから、物語という虚構に縋ってしまうのだ。
ほんとうのしあわせはどこを探せばよいのか。