「イブの夜」
私はきっと軽い女って言うのだと思う。
今日も今日とて夜遊んでくれる男がいないか、渋谷を歩き回っている。
こんな私を皆は可哀想だと言う。まぁ実際可哀想なのかもしれない。私の幸せはたった一度きりだけど、気に入った人と喋って触れる時間。
それは今日、イブの夜も変わりはしない。
私は今日も渋谷を彷徨っている。
「寂しさ」
寂しさなど全て捨てていたら、あなたともっと長くの時を過ごせたでしょうか。
あなたの居ないこの世はいらない。
クリスマス私は一人で過ごす。世の中の人はパートナーと過ごしたり、親と過ごしたり、とても濃厚な一日を過ごすだろう。
私も昨日まではそう思っていた。私が、あなたともっと居たいと、寂しいと言ってしまったのがいけなかったのか。今頃あなたと楽しい時を過ごしているはずたったのに…。あなたはもうこの世には居ない。私のせいで追い詰められたあなた。私が寂しいと言わなければ何か変わっていたのだろうか。
あなたの居ないこの世に用なんかない。待ってて。
「とりとめもない話」
至って普通の日常会話だった。
話のどこにも笑う部分はないのに彼女は笑ってくれた。そう、それが日常会話だったから。彼女は普通の人とはちょっと違った。
彼女は普通をとても好んでいた。だからこそ彼女は日常会話の、なんの面白みの無い部分で笑ってくれたのだ。そう……君は他の人と違う。
「嫉妬、怒り、悲しみ」
羨ましかった、お母さんに愛されてるお父さんが。
羨ましかった、お父さんに愛されてるお母さんが。
羨ましかった、両親に愛されてる友達が。
全てを否定されてる私を、友達は笑った。
全てを許されてる友達を、私は嫌った。
苦し紛れの言い訳さえ許して貰えない。
泣きわめく私を、誰も慰めて貰えない。
全てを否定されている私は、今も偽りの笑顔を振りまいて生きている。
いつか、誰かに愛されるまでこの偽りの笑顔はなくならない。
「愛を注いで」
嘘でもいいの、ただ愛を注いで。
箱から漏れ出ているその、無駄な愛を私に向けてくれれば良かったのに。