【秋風】
枝から揺られて落ちた落ち葉が
そよそよと旅に出る
何にも無かったはずの今日に
同じ景色しか見たことが無かった瞳が
輝く世界を知った
それが浮遊感による錯覚だとしても
これほど心地よい感覚なんて
これほど色付いて見える景色なんて
人生で1度きりだろう
着地点が灰色の硬い地面だとしても
2024-11-14
【また会いましょう】
都合のいい存在が
どこにも行かないように
四方を壁で覆った中に1人取り残された
外側にみんなが好む顔を貼り付けたら出来上がり
それを見てみんな喜ぶから
内側なんて知らんぷり
それでいいよ
みんなから見えない世界で
小さな小さなユートピアを作り出した
外に僕の声が聞こえないことはとうに知ってるから
いくら大声で歌ったってバレない
ただ寄り添ってくれる形のないきみが居てくれれば
それだけでこの世界に明かりが灯る
昔読んだお話の続きを
みんな苦しんだ後にハッピーエンドを迎えるその先を
僕なりの言葉で綴ったら
きみに1番に聴かせよう
僕の幸せなお話が終わらないように
2024-11-13
【スリル】
きみが大丈夫って散々言い聞かせてくれたから
次が決まってなくても足を踏み出せる
どんなことが待ってても
きみの力で乗り越えられちゃうから
全部適度なスリルにしか感じられないくらい
毎日楽しく過ごせてるよ
2024-11-12
【飛べない翼】
誰にも見えない透明でも
確かに僕はあると信じてる
綺麗事が嫌いだからこそ
響く言葉の粒がその形を教えてくれるから
それが飛べない翼だとしても
きみの歌さえあれば何処にだって行ける
2024-11-11
【ススキ】
雪が積もった白い道と
栄えた街並みを彩る街路樹のイルミネーション
1年に1度だけ味わえる非現実な特別な日
白い息がこの街に溶けていくのさえ嬉しくって
滑りやすくなった白い地面で転がってしまっても
最高な1年の始まりを感じられる
2024-11-10