【やわらかな光】
固く固く閉ざした扉
何にも入られないようにキツく閉めておいたはずなのに
いつからか徐々に光が入り込んできて
僕をそちら側へ誘ってくる
全部要らないと捨てたものも
必要ないと振り切ったものも
どうしてかその光はそれらを照らし出して
忘れないでとくすぐってくる
ずっと何年もそんなことされ続けたら
無視しないわけにはいかなくなって
扉に手をかけてしまったんだ
2024-10-16
【鋭い眼差し】
きっとききみに出会ったばかりのころは
僕もこうだっただろう
何も信用できないくせに
何にも背を預けることが出来なくて
ただ自分の立っている足場だけ
本物であってくれと願うばかりだった
そんな中で現れた救いの手なんて
直ぐに手を伸ばせないものだろう
でも今やきみにだけ背を預けて
あれほど僕を消そうとしていた日の光に
その視線を向けて
抗おうと足場を広げ始めるなんて
あの時は思っても見なかったな
2024-10-15
【高く高く】
ずっと燻っていた違和感が
きみの音で殴られて本当にやりたかったことに
形を変えた
どん底から這い上がって
やっと海面に顔を出したところだったけど
きっとまだまだ上があって
あの澄み渡る晴天の空に手が届く時がくるのなら
まだまだ高く高く手を伸ばしていたい
やっと覚悟が決まったから
2024-10-14
【子供のように】
好きなことを好きだということに
年齢は関係なくて
好きなものを前にして感極まって泣いてしまうのも
何歳だって構わないから
だからこの時間だけはどうかあの日のまま
いつ思い返しても楽しかったと全身全霊で言えるように
子供のようにはしゃいでいたい
2024-10-13
【放課後】
今日最後のチャイムが鳴って
重い思いに席を立つ面々
おざなりに挨拶を済まして
今日の1番の目的へ急ぐ
家に帰る理由なんてそれだけで十分だ
爆速で道路を駆け抜けて
玄関に入るとその勢いのままパソコンの前に座る
今日はどんな話をしようか
どんな音色で彩ろうか
誰も知らない僕ときみだけの時間が始まる
2024-10-12