『列車に乗って』(創作)
法律は平等だ。でも公平ではない。
理不尽の末の防衛であっても、犯行であれば罰は下される。
ちょうど、50年も逃亡していた指名手配犯が世間を騒がせている。俺にも出来るかもしれない。
足元に横たわる男を見下ろしながら、そんなことを考えていた。正当防衛だった。こんな事になるなんて思っていなかったが、こんな奴のために刑務所へ入るのはごめんだ。出来ることなら逃げたい。よし、列車に乗って逃げよう。
1週間後
俺は捕まった。駅には無数の防犯カメラがあり逃げおおせるわけがなかった。50年前とは時代が違う。列車に乗って逃げるのは悪手だったことを思い知った。
『現実逃避』
現実逃避ができるうちは、まだ余裕があると思います。
逃避する余裕もないほどに現実が迫っていたら、我武者羅に現実と向き合うしかないのかと。
例えば、被災や戦争などのように命の危機に直面していたら、現実から逃避したくても、その余裕はないように思います。
『君は今』(創作)
君は今、何を思うのだろう
微笑む君は棺の中に横たわり
ずっとずっと微笑んだまま
君は今、何を思うのだろう
『物憂げな空』(創作)
シトシト シトシト
冷たく静かな冬の雨
今にも雪になりそうな
寒い寒い夜の雨
真っ暗な空は
地平線も飲み込んで
どこまでもどこまでも
暗い雨の空が続いてる
物憂げな空を通り越し
すっかり塞ぎ込んだ空
暗く冷たい涙のわけを
誰が知るというのだろう
シトシト シトシト
今宵の雨はほんとうに
心まで凍てつく
哀しい涙の音がする
『小さな命』
「小さな命」って、聞き流す分には気に留めないけど、こうして突きつけられると、変な言葉に思えてます。
体の大きさが命の大きさみたいで、しっくりきません。
ゾウの赤ちゃんも「小さな命」って言うかしら?とか、記憶を辿ったところで、覚えているはずもなく、もやもやしてます。諺の「一寸の虫にも五分の魂」も、しっくりこないです。
命のサイズって、あるものなのでしょうか?