どっちが遠くまで飛べるか、競争しよう。
夕方の公園、地面に足で描いた線の前に2人で並ぶ。
このまま帰るのが名残惜しくて、思いついた戯れ。
じゃあ、いくよ。せーの!
きっと、前向きで元気なあなたはぐんぐん遠くへ飛べるのだろう。
どこまで追いかけていけるかな。
いつかは置いて行かれちゃうかな。
不意に、掴まれた手首が力強く引き寄せられる。
驚いて見上げると、確信犯みたいに笑うあなた。
どこまで飛んでも、一緒がいい。
そう言って少し照れたようなあなたの影と、不意打ちに立ち尽くす私の影が、夕日に伸びて並んでいた。
#君と飛び立つ
今日のこと、きっとずっと忘れないよ
きっとじゃ嫌、絶対って言って!
そう言って拗ねるのを可愛いって思えるのは好きだから。
ずっと可愛いって思ってたいな。
そう思ったこの甘い午後を、僕はきっと忘れない。
#きっと忘れない
ぬきあし、さしあし、しのびあし。
足音をたてないように、そっとそっと。
あなたの驚く顔が、もっと言えば、その後の笑う顔が見たくて忍び寄る。
でもやっぱり見つかっちゃうわけだけれど、
「なにやってるの」
そう笑うあなたの顔が見られたから、ふんわりと満たされる気持ちを隠して、照れ笑う。
#足音
今日も明日も明後日も、ずっとずっと暑いじゃん。
暑さ寒さも〜って言うけれど、きっと9月も暑いじゃん
なんなら6月から暑いじゃん。
夏が苦手で暑さに弱い私は、もう体がしんどいよゥ。
早く冬が来ればいいとか、極端なこと思うくらい、もう暑いのはお腹いっぱい。
#終わらない夏
どの色がいい?
そう問うと、可愛らしい彼女の指が淡い水色の折り紙を選ぶ。
これ、おにいちゃんのおようふくとおんなじ。
頬を赤らめてにこにこと笑う姿に、僕の胸にじんわりとあたたかいものが溢れてくる。
大切な君が、これからもずっとずっと幸せでありますように。
一折一折願いを込める。
ひこうき、できた?すごいねぇ。
風を選んで手を離せば、紙飛行機は空を目指す。
どうか。どうか、いついつまでも。
遠く、遠く飛んでゆけ。
#遠くの空へ