【もしも未来を見れるなら】
もしも未来を見れるなら、それは幸せなことだと思う。
未来が見れるということは、未来の私は生きているってことで。
仮に私が死んじゃったら、未来は見れないはずで。
どんなに今が辛くても、私は生きることを選んだってことだから。
だからもしも未来を見れるなら、それは幸せなことだと思う。
【無色の世界】
私の心は無色透明の空っぽだ。
みんなは色とりどりの心を持っているのに。
それは成長の証。これからどんな色にもなれる可能性の色だって、大人は言う。
心にもない事ばっか言いやがって。
私には何にも無いって、私が一番分かっている。
周りを妬んで、恨んで、心がどす黒く濁っていく。
そうして私の心は真っ黒になった。
やっと空っぽじゃなくなったのに、全然心は満たされない。
どうして?
あの時の無責任な奴らのせいだ!
私に無いものばっか持ってる奴らのせいだ!
こんなにも惨めな思いをしてるのは全部周りのせいだ!
八つ当たりして、周りに嫌われて、その事でまた他人を恨んで、それを繰り返して。
疲れ果てて何もかもどうでもよくなった時。
気付いたら世界が無色になった。
昔の私とおんなじな、空っぽで無色の世界。
何も感じない、心が安らぐ透明な世界。
あぁ、しあわせ────
【桜散る】
「あら、そろそろ時間だわ」
「えぇ〜! もう行っちゃうの?」
縁側から立ち上がり、彼女がいる方へ振り向く。
彼女は不満げな顔をしていた。
「もうちょっとだけここにいようよ。少しだけなら大丈夫でしょ?」
「そういう訳にはいかないの。我慢してちょうだい」
「うぅ〜〜〜〜」
もう高校生になったというのに、別れ際に駄々をこねるのは昔から変わらない。
「……ねぇ、また会いに来てくれる?」
「もちろん。この桜が枯れない限り、私はずっと貴女に会いに行くわ。」
「約束だよ?」
「えぇ、約束よ」
そうこうしている内に、私の身体が光に包まれる。
彼女は涙を拭って、とびきりの笑顔で告げる。
「じゃあまた来年! 次会うときは食べたがってたケーキ持ってくるからね!!」
「うふ、それは楽しみね。
じゃあ、また春に会いましょう────」
一際強い風が吹き、最後の花弁が地面に落ちた。
次に会えるのは来年の春。桜が満開になる頃だ。
桜が散ったらさようなら。
【夢見る心】
「わたし、大きくなったらお姫さまになりたい!」
まだ空想と現実の区別がつかず、白馬の王子様を信じてた頃の私の夢。
荒唐無稽の叶うはずのない夢物語。でもあの頃の私は、本気でお姫さまに憧れていたんだ。
今日、学校に届いたパンフレットを見てその事を思い出した。
服飾専門学校のオープンキャンパスの案内。
そろそろ進路を考えなきゃ、なんて何気なく進路指導室に来ていた私は、そこに写っていたドレスに釘付けになっていた。
フリルがふんだんに使われた上品ながらも可愛らしいドレスは、あの頃私がなりたかったお姫さまそのもの。
自分がどうなりたいか分からず、どこか冷えていた心に温かな光が宿ったような気がする。
私もこんなドレスを作ってみたい────
まずは親に相談しよう。
急に服飾の専門学校に行きたいって言ったら、二人ともびっくりするかな。
知識0の未経験者が何言ってるんだって怒られるかも。
でも気付いちゃったんだ。
まだ私はお姫さまに憧れてるってことに。
きっと周りから見たら私は、幼稚な考えで将来を決める愚か者に見えるかもしれない。
それでも夢見る心は止まれない。
心なしか軽くなった足で進路指導室を出た。
これは夢への第一歩。
少しずつ少しずつ歩みを重ねて、いつか理想のお姫さまになってやる。
【届かぬ想い】
あいつに彼女ができたらしい。
前から気になってた子で、告白されてOKしたみたいだ。
本人に笑いながら告げられて泣きたくなった。
俺もお前のこと好きだったのに。
この想いはもう二度と届かない。