子供の頃の夢ってなんだっけ、、?
ケーキ屋さんから始まって
キャリアウーマンに、体育の先生、インストラクター、ライター
お店を持つだの。
そのどれも夢であってやりたい事だった
必死に独学で勉強した時もあって
コロコロ変わる夢をただ追いかけてた
そして、30手前の今
私の夢を考えた時に
隣には彼女が居て、その将来を夢見た
君と歩む将来を、ただの淡い夢なんかじゃなくて
確実なもので固めたいと思った
頭を捻って将来の夢を考え込んだ、あの頃の私が聞いたら
笑うだろうか。
ただ、大切な人の傍に居たいと願う夢を
不思議だと思うだろうか。
あの頃の夢が叶わなかった分。
この夢だけはずっと追い続けたい
そうやって、とても綺麗とは言えない字で書いていた
日記を読み返しながら呟いた私は
あの頃に比べてもうだいぶ大人になったと思う。
彼女が言った
ドロドロに愛して。
私の弱い所ダメな所を知っても
それでもなお、私を愛して。
そう言ってゆっくり話し始めた
彼女の過去も、過去の傷も
癒えぬ深い闇も全て
その傷一つ一つに意味がある事も
私なんかが到底触れる事が出来ない
深い傷を教えてくれた
あぁ、愛おしい。
その全てに負けじと生きてきた
その小さな鼓動がたまらなく愛おしい
狂おしい程に愛おしい。
彼女の過去を憎むと同時に、その過去が
たまらなく欲しくなる
ドロドロに歪んだ感情でさえ
愛してみせよう
好き、嫌い、愛してる。
あぁ、愛おしい
そう呟く事が日に何度もあって
私の腕の中で静かな寝息を立てる彼女は
世界で一番愛おしい
小動物、癒し系のキャラクター
愛犬、愛猫
愛おしい対象なんて幾らでもあるのに
その全てを超える程の愛おしい存在が私の腕の中にいる
世界中のどんな愛の言葉をかけたって
その愛おしさには届かない
息を吸うように、吐くように
彼女の愛おしさが溢れて
心が深い所で満たされる
梅雨の鬱陶しいジメジメとした朝の空気も
彼女の髪を撫でるだけで
彼女の頬に触れるだけで
心が癒される
彼女の寝顔から目が離せないでいると
ゆっくり目を覚まして
彼女は母国語で
I love you
最高の朝を
最高の一日は
きっと彼女が作ってくれてる
一番愛した
一番愛された
人生の半分も生きてないのに
そう言い切れる自分に驚きを隠せない
この愛はあまりにも
不器用で痛くて切なくて脆くて
一番乱れて、満たされた
深く深く満たされた
一番狂って求めた
そんな愛を美しいと思う
それでも
彼女の腕に残った傷と
私の心に消えない傷を無視できない
一生残る傷と一緒に
私も生きて。
久しぶりに太陽が雲の間から顔を覗かせた朝
鳥達の声もいつもより高めな気がして
いつものように目を擦りながら洗面所に行く彼女を見送って
彼女の朝ごはんの支度をしてる
窓を全開に開けて籠った夜の空気を外へ逃すと
愛猫たちも背伸びをして目を覚ました
愛おしい人がスッキリした顔で私に背伸びして近づき
朝の挨拶をする
長い髪に指を通して抱擁し唇に触れる
ありがと。と言って振り返る
その後ろ姿を見ていると
朝の気持ちのいい風が
彼女の長いサラサラの髪を優しく撫でる
こんな毎日がたまらなく愛おしい
そう思いながら彼女の為に
今日もパンを焼く