『怖がりなのは悪い事ではない』
そう言う人も居るけれど
肝心な時、何かを失うのが怖くて動けない
それも、怖がりのうちに入りますか?
〈怖がり〉
あなたの安らかな瞳に見つめられると
なんだか心を見透かされているようで
ただ少し落ち着かないけれど
がくぶちにかざられた絵画のように
すこしも動じずあなたを見つめ返せたなら
きっとその時はあなたに伝えられると思うの
〈安らかな瞳〉
シロツメクサの花冠を作るのが得意な私と、
四つ葉のクローバーを見つけるのが得意な君。
春風はシロツメクサの花を優しく揺らし、
君の白いワンピースをなびかせた。
花冠を被り、はにかんだ君は
とても綺麗だった。
このままずっと隣で、
君を見ていたいと思う程に。
〈ずっと隣で〉
『…僕は今、どこに居るんだろう?』
別に道に迷った訳じゃないけれど、
ふと、そんな事を考える。
僕は昔から、時折そう思う事があった。
この漠然とした問いの答えを探るとき、
いつも決まって真っ暗な空間と、前後に果てしなく延び続ける一本の道を思い浮かべる。
道には不安な面持ちの自分が立っていて、
それを幽霊のように透明な僕が俯瞰している。
《僕は今、どこに居るのか?》
この問いは多分、その一本道を歩く自分が
発した疑問なんだろう。
辺りは真っ暗で何も分からず、不安で不安で
仕方がない。
この道は何処へ行き着くのか。それを少しでも知りたくて、外の僕に聞いたのだ。
「…それなら 僕は、」
君が道を違えてはいないか。
この道を進んだ先に何があるのか…
外の僕が沢山のことを知り、不安な君に
教えてあげよう。
"もっと知りたい"
そう願う君に応えて。
〈もっと知りたい〉
3月。風はまだ冷たいが、陽射しは暖かい。
仄かな梅の花の香りは冬の終わりを告げ、
木々の隙間からうぐいすの歌が聞こえた。
ああ、もうじき春が来る。
春が来たら何をしよう?花の栞でも作ろうか。
心弾む春の予感。
平穏な日常の中の、少しの変化。
〈平穏な日常〉