いやいや、そういうのじゃないんですよ。
ボクが聞きたいのはそういう事じゃなくてですね。
ああ、はい。
まあそういうことですけども、
ニュアンスというかなんというか。
とにかくボクが知りたいのはそういうことじゃないんですよ。
とにかくよく喋る人だ。
彼の質問とかそういうのは置いといて、彼はとにかくよく喋る。
冷めたコーヒーをひとくち。
申し訳ないのだが、
何とも彼の言葉は耳をすり抜けてゆく。
そういうのじゃないんですよ。
とりあえずそうなんだろう。
そういうのじゃないらしい。
そういうのじゃないのはよーく分かったが、さてはてどうしたものか。
俺の脳みそはもう随分前に彼の言葉を認識しなくなったらしい。
普通に聞くのがめんどくさくなっただけだが。
クジラが落ちた。
ある朝どうも騒がしく、
あの丁寧なアナウンサーが少々取り乱し気味?
あらあら、まあまあ、
一体どうした。
「クジラが落ちた。」
クジラが落ちた?
ああ、そういえば、、。
机があって椅子があって。
同じものが何列もあって、それだけでそこは教室で
あーあ、
今日は行きたくなかったんだよ。
昨日日曜日だったから。
この世は謎で満ちていて、
でもそんな謎解明しなくても僕は生きてける。
あーあ、
みんな馬鹿だね。
何も知らないうちに死んでいくんだ、
何も知らなくてもみんなは満ちている。
出来損ないの蝶々が言った。
キミは何も欠けていないね。
羨ましいよ。
きっと羽がかけていたから蝶々はそういったんだ。
もう片方は酷く綺麗だ。
酷く酷く、片方だけなのがもったいないくらい。
僕は中身がかけていて
蝶々は羽が欠けていて。
たりないたりない、
いつまでたってもたりないって
そう言うんだ。
世界がとけてゆく。
ああ、ああ、そうだそうだ、
そうだった。
おれは暗闇へ身を投げ出して
星はおれを避けるように散ってった。
そうだったそうだった。
おれは仕方なく出来ない奴だったから、
それが辛くて情けなくて。
けどきっとこの世から居なくなることも出来ない
臆病者だったから。
仕方がない仕方がない。
景色が流れるようになんどもなんども
日をまたいでいったんだ。
線路に飛び散った肉片よ、
お前はおれのヒーローだ。
お前をくっておれはここにいるんだ。
星もおれを避けてくれたがなんてことは無い。
この世に思い入れなんかない。
ああ、ああ、
この世に神がいるのなら、
おれは全て神に押し付けていこうじゃないか。