見出そうとするほど
するり、と透いてきえてしまう
愛そうとするほど
柔く解けてもどらない
きみ
と
ぼく
の間の皮膚が
消滅して一つになること
を
夢にみる
欲望のハッピーエンド
先祖から続いたその種は
川を流れる水をつたい
今ここへと辿り着いた
はじまり
そのはじまりを覚えているか
空を泳ぐ雲と
行き交う人々
朝の熱と夜の静けさ
花たちは愛し合い
君たちと同じ川を流れゆく
私は見た
せわしない生命のはたらき
その音、
濁点と半濁点の混ざる
記号として示すことのできない
そのうごめき
汚いとも美しいとも思えた
幻
その自由なうごめきが
不思議と私の毒を包み、破裂させる
そしてまた新たな毒が芽生えた
この種はここにいる
私はそれを見た
必ず君とここにいた
長く続く川の先が
いつか力なく土になろうとも
石を伝い砂を伝い
生命の水となって
君とみた景色がここに咲きますように
だから今は
この泥の中をくぐる
その先へ、
どうか1人で生きていけますように
不条理
どうせ生きることは辛いんだから
どうせ死に道を通るしかないのだから
歩かなくても向こうから
迎えがやってくるのなら
寄り道をして
わたしにはならない果実というものの
味がどんなのかと
土産に持ち行こうか
早く死にたいなんて言わなくても
必ずやってくる終わりに
たったひとつの希望
適当な言葉でいい
口笛を吹くより軽く
か細く喉を撫で舌にのるほどでいい
ただ聴かせてくれ
君が飲み込めなかった
胃ごと吐き出した
形そのままのフレーズを
私の口に当て
手から腕にかけその内臓の奥へ押し込み
わたしの重力へと変えてほしい
1人の日のふけごと
誰よりも
きみのいない街へ出掛けます、
すべて整理して家を出ると
私の場所は本当にないんだなと寂しくて
胸を埋めていた物まですっぽりと
型を残してどこかへ消えちゃったみたい
そしてようやく、この時期の風の寒さを知りました
きみと違う街の人になります。
次に会うときは
きっと知らない人、
今日の夜行バスまで
きみを知っているこの街の私で