『夢見る少女のように』 220
幼い少女が、真っ白な画用紙に沢山の色を乗せていく。
少女が5才になった誕生日に、両親からプレゼントしてもらった色鉛筆。ひとたび少女が手に持てば、それらは少女に理想の世界を届けてくれた。
少女にとって色鉛筆とは、物語に出てくる魔法のステッキとなんら変わりなかったのだ。
少女が夢を描く。
それは"少女"が"お姫様"になる物語かもしれない。
それは"少女"が"魔法使い"になる物語かもしれない。
それは"少女"が"騎士"になる物語かもしれない。
少女は思いつく限りの物語を、何枚も画用紙に描き続けた。しかし……どれだけ理想を思い描いても、何故か幼い少女の心は満たされない。求めているものとは違うような、納得できない何かがあったのだ。
──それから短くはない歳月が経ち、あの頃の"少女"は"女性"へと成長していた。
近く一人暮らしをするにあたって、実家の片付けをしていた時、幼い頃に自分が描いた夢を見つける。
女性はそれを見た時、どうして当時の自分が満足出来なかったのか、今になって少し分かった。
片付けをしばらく休み、大切に保管してあった画用紙と色鉛筆を手に取る。
大人になった少女が、真っ白な画用紙に沢山の色を乗せていく。
少女の夢を描く。
それがどんな物語になるのかは分からない。
しかしきっと……それは"少女"が"少女"のまま幸せになれる物語なのだろう。
『元気かな』
今頃あの子は何をしてるかな。
当時からみんなに愛されていたあの子。
誰かとお話をするのが好きで、話すときも聞くときも、いつも楽しそうに体を揺らしていたっけ。
笑った時に出来るえくぼを気にしているくせに、こちらに気付くと笑顔で駆け寄ってくる。
いじらしくて可愛くて、とても素敵な子だったんだ。
あの頃から幾許かの時が流れた今に思う。
あの子が愛されていたのは、きっとあの子だったからなんだろう。
……あの子、今も元気にしてると良いなぁ。
『寂しさ』
あぁ、あなた死んだのね
畳の青さが際立つ朝方
遠くの空にはモヤがかかる
掃除が下手な誰かのせいで
埃が舞っているんでしょうね
小鳥 小鳥 小鳥
小鳥がないてる
ないてる
ないてる……
畳の青さが目立たぬ夕方
遠くの街には影がかかる
目立ちたがり屋な誰かのせいで
光が散っているんでしょうね
カラス カラス カラス
カラスがないてる
ないてる
ないてる……
煙たい部屋の壁には染みが
マールボロの煙草のせいね
曇ったガラス戸を覗いたところで
中身なんて分かりやしない
だってあなた──
もう死んだんだから
『最初から決まってた』
何億年も前に出来た
チンタラと生きてる私の宇宙が
ナンタラとかいう難しい名前の
カンタラとかいう難しい法則で
何億年も後に消滅するって……?
未来に行っても
過去に行っても
何方も結果がおんなじならば
これまで紡いだ世界の因果も
ほどけたところで関係ないね
ゲームのボタンをピコっと押したら
どんな物語も一つに収束!
緑の衣の勇者でも
赤い帽子の配管工でも
黄色い電気のネズミでも
電源落ちたら強制終了
人がどうかは知らないけれど
宇宙は何時でもモーマンタイ!
『 だから、一人でいたい。』
一人でいたいから
一人でいたい
痛くはなくても
独りでいたい
無意味に感じる
トートロジー
理解ができない
いろは歌
本当に?
……本当に
よってらっしゃい
みてらっしゃい
喧騒まぎれた
孤独な独白
毒吐くあなたは
孤独が似合いと
毒吐き独白する孤独
本当に?
……本当に
花一匁と
やってくれるな
あの子が欲しいと
言ってくれるな
かって嬉しい?
バカ言うな
売れ残ったのは――
「じゃんけんぽん!」
――どこの子だ……?