『空模様』
杪夏
秒読み
良い酔い宵
空見る君の悪いとこ
空見は気味が悪いこと
執着ゆえに現を抜かし
夢幻へと逃げていく
駆ける足元は薄氷へ
絵空事に夢中な君の
瞳に映る模様は如何に
『いつまでも捨てられないもの』 165
私は自分を捨てたのだと、そう叫びながら生きている。
自分を傷つけ、蔑ろにし、過去の夢をただの落書きと呼びながら生きている。
私が一番悲惨なのだと、不幸を競って生きている。
生きたくないとほざきながら、結局私は生きている。
どこにいても、何をしても、私が私である限り、私はいつでも生きている。
気付いているんだ。
それを前提として価値をつけるんだ。
最後に残るのは……命だと。
『誇らしさ』
朝目が覚めたらコーヒーを飲みます。
苦いけれどとても美味しくて、それは私の生活に一滴の味わい深さをもたらしてくれます。
毎朝コーヒーを飲みます。
どんな日であっても、それをすることで私の気持ちは少し晴れるのです。
強制はされていません。
責任もありません。
義務感もありません。
飲みたいから飲むのです。
私が、飲むのです。
そんな少しの……贅沢なのです。
『夜の海』
波が立ち
水飛沫が舞う
そうして僅かな海達が
夜空に逃れて光輝く
夜の海は仄暗い
見下ろす月光が与える栄誉は
少ないからこそ価値があるのだ
『心の健康』
「俺って心が病んでるんだ」
『……そうなのね』
「子供の頃から不幸続きでさ」
『……大変ね』
「笑顔でいるのが辛いんだ」
『……可哀想ね』
「君は心が強いよね」
『……そうね』
「何があっても動じない」
『……確かにね』
「本当に君が羨ましいよ」
『……ごめんね。
悪いけど、今から自殺しなきゃいけないの。
またね』
ツーツーツー
「どうして自殺なんてするんだろう?
……まぁ、いいや」
プルルルルル
『……なに?』
「俺って心が病んでるんだ」