ノーム

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6/27/2023, 2:17:54 AM

『君と最後に会った日』


雨が降っていた
ただ立っていた

濡れた髪が垂れ落ちて
透けたシャツがへばりつく

ポツポツ ポツポツ
ザーザーザー

アスファルトを打つ雨粒が
その瞬間に弾け飛び

ドキドキ ドキドキ
ザーザーザー

動悸とズレた雨音が
いやに耳にこびりつく

何処の誰かは分からない
窺う顔もありはしない

けれど今日が最後だと
お互いよくよく理解した

6/19/2023, 8:47:20 AM

『落下』


冷めた目をして世界を見やる

(どちらが上で、どちらが下だ?)

今日も今日とて誰かが落ちて
夜の恐怖も、朝の恐怖も
どちらも解らぬ馬鹿どもが

落ちる無様を見下ろして
ケタケタ、ケタケタ嘲嗤い
チープな声音で説法たれる

これより下には落ちるまい
これより下には落ちたくないと
楽観主義者のアンビバレンス

拱手傍観の吊られた愚者は
たとえ自由の身になれど
読んで字のごとく何もしない

今日も今日とて夜が更け
視界が歪み、世界が歪み
零れた涙は天へと落ち行く

(どちらが上で、どちらが下だ?)

冷めた目をして世界を見やる


『落下傘奴のノスタルヂアと』

6/17/2023, 6:05:46 PM

『未来』 145


やい、お前!
なんだってそんな顔をするんだよ。

未来だぞ!?
今からするのは未来の話だ!

未来にはきっと空飛ぶクルマがあって、自動運転で誰でも簡単に世界中を旅できるんだ!
食料にもお金にも困ることが無くなって、これまで仕事だったものが趣味に置き換わっていく。
不治の病なんて言葉も忘れ去られて、不老長寿が当たり前の世界になってんだ!

……ワクワクするだろう?

ほら、お前も何か言ってみろよ!
例えばそうだな……幸せな家庭とかどうだ?
お前昔から結婚したがってたじゃないか。
将来どんな家族と暮らしたいんだ? ん?

……気が乗らないなら夢の話でも良い!
『叶えたい夢があるんだ』ってこの前言ってたろ?
どうだ? 夢が叶った未来の世界!
想像するだけで楽しくならないか?

……おい、何とか言ったらどうだ。

…………はぁ。

……なぁ、頼むよ。
ちゃんと顔を上げてくれよ。

もっと笑えよ。
もっと楽しめよ。
もっと語らえよ。
もっと上を向けよ。

……何時からだよ、お前が『未来』と聞いて下を向くようになっちまったのは。

6/15/2023, 2:14:13 PM

『好きな本』


「これ読んでっ!」


──────────


【勇者セイバー物語】 ~勇者、それってつまりブレイバー~


「俺は勇者セイバーだぜっ!」

ピカピカにキラキラしたイケてる伝説のソードを頭の上に持ってきて、セイバーはそうゆう。
つまり彼が勇者セイバーだという事を言っているので彼は伝説のソード"カイザーアルティメットグロテスク"に選ばれた勇者なのかもしれない。いやっそうだっ!

「これでやられろっ! 悪の怪物"ワルイーモン"よっ!」

セイバーがそんな事をゆったとたん、ピカピカにキラキラした伝説のソード"カイザーアルテマグロテスク"はさらにキラキラを増やし、周り一面を白くした。そして、勇者セイバーに雷が落雷するっ!

「キュッキュルルルゥゥウ……ッ!」

そのあまりのヤバさに魔獣"ワルイーモン"は怯えているのかも知れない、その強さ故に……。
次のしゅんかんっ! その身体から湯気みたいなのを出しながら勇者セイバーが凄い速さで踊って出ながら悪の怪物"ワルイーモン"に突撃するっ!

「ハァァンッ!」

気合いの声といっしょに勇者セイバーはピカピカの増えた"カイザーアルテメディックグロテスク"を瓦割りする。

「グガァァァアア……ッッ!」

これには流石の怪物"ワルイーモン"も納得の威力だったのだろう、そのまま寝転び永き永遠の眠りについた……その強さ故に……。

勇者セイバーは大声をあげる。

「俺の勝ちだぁー!」

それは山にひびきトドロキ、世界中に聞こえるくらい響いた。まるで怪物に捧げる鎮魂歌《レクリエーション》の様に……。


──────────


「どうっ? めっちゃ面白くない!?
これ私が書いたの〜!」

「…………」

「感想! ……感想はっ!
((o(。>ω<。)o))」

「これはぁ……なんというか……」

「ドキ(✱°⌂°✱)ドキ」

「……僕は好きだよ」

「゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・。」

6/12/2023, 1:29:12 PM

『好き嫌い』


頭を撫でる

「私はあなたが好きよ」

髪を掬う

「世界がどれだけ変動しようとも」

頬に触れる

「常識がどれだけ流動しようとも」

瞳を視る

「私はあなたを嫌いにならない」

額を合わせる

「私はあなたを愛してる」

口元が近づき

「……だけどね」

息がぶつかり

「だけどどうしてもね」

その唇に

「あなたのことが」

口付けを

「苦手なの」

……しない

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