『君と最後に会った日』
雨が降っていた
ただ立っていた
濡れた髪が垂れ落ちて
透けたシャツがへばりつく
ポツポツ ポツポツ
ザーザーザー
アスファルトを打つ雨粒が
その瞬間に弾け飛び
ドキドキ ドキドキ
ザーザーザー
動悸とズレた雨音が
いやに耳にこびりつく
何処の誰かは分からない
窺う顔もありはしない
けれど今日が最後だと
お互いよくよく理解した
『落下』
冷めた目をして世界を見やる
(どちらが上で、どちらが下だ?)
今日も今日とて誰かが落ちて
夜の恐怖も、朝の恐怖も
どちらも解らぬ馬鹿どもが
落ちる無様を見下ろして
ケタケタ、ケタケタ嘲嗤い
チープな声音で説法たれる
これより下には落ちるまい
これより下には落ちたくないと
楽観主義者のアンビバレンス
拱手傍観の吊られた愚者は
たとえ自由の身になれど
読んで字のごとく何もしない
今日も今日とて夜が更け
視界が歪み、世界が歪み
零れた涙は天へと落ち行く
(どちらが上で、どちらが下だ?)
冷めた目をして世界を見やる
『落下傘奴のノスタルヂアと』
『未来』 145
やい、お前!
なんだってそんな顔をするんだよ。
未来だぞ!?
今からするのは未来の話だ!
未来にはきっと空飛ぶクルマがあって、自動運転で誰でも簡単に世界中を旅できるんだ!
食料にもお金にも困ることが無くなって、これまで仕事だったものが趣味に置き換わっていく。
不治の病なんて言葉も忘れ去られて、不老長寿が当たり前の世界になってんだ!
……ワクワクするだろう?
ほら、お前も何か言ってみろよ!
例えばそうだな……幸せな家庭とかどうだ?
お前昔から結婚したがってたじゃないか。
将来どんな家族と暮らしたいんだ? ん?
……気が乗らないなら夢の話でも良い!
『叶えたい夢があるんだ』ってこの前言ってたろ?
どうだ? 夢が叶った未来の世界!
想像するだけで楽しくならないか?
……おい、何とか言ったらどうだ。
…………はぁ。
……なぁ、頼むよ。
ちゃんと顔を上げてくれよ。
もっと笑えよ。
もっと楽しめよ。
もっと語らえよ。
もっと上を向けよ。
……何時からだよ、お前が『未来』と聞いて下を向くようになっちまったのは。
『好きな本』
「これ読んでっ!」
──────────
【勇者セイバー物語】 ~勇者、それってつまりブレイバー~
「俺は勇者セイバーだぜっ!」
ピカピカにキラキラしたイケてる伝説のソードを頭の上に持ってきて、セイバーはそうゆう。
つまり彼が勇者セイバーだという事を言っているので彼は伝説のソード"カイザーアルティメットグロテスク"に選ばれた勇者なのかもしれない。いやっそうだっ!
「これでやられろっ! 悪の怪物"ワルイーモン"よっ!」
セイバーがそんな事をゆったとたん、ピカピカにキラキラした伝説のソード"カイザーアルテマグロテスク"はさらにキラキラを増やし、周り一面を白くした。そして、勇者セイバーに雷が落雷するっ!
「キュッキュルルルゥゥウ……ッ!」
そのあまりのヤバさに魔獣"ワルイーモン"は怯えているのかも知れない、その強さ故に……。
次のしゅんかんっ! その身体から湯気みたいなのを出しながら勇者セイバーが凄い速さで踊って出ながら悪の怪物"ワルイーモン"に突撃するっ!
「ハァァンッ!」
気合いの声といっしょに勇者セイバーはピカピカの増えた"カイザーアルテメディックグロテスク"を瓦割りする。
「グガァァァアア……ッッ!」
これには流石の怪物"ワルイーモン"も納得の威力だったのだろう、そのまま寝転び永き永遠の眠りについた……その強さ故に……。
勇者セイバーは大声をあげる。
「俺の勝ちだぁー!」
それは山にひびきトドロキ、世界中に聞こえるくらい響いた。まるで怪物に捧げる鎮魂歌《レクリエーション》の様に……。
──────────
「どうっ? めっちゃ面白くない!?
これ私が書いたの〜!」
「…………」
「感想! ……感想はっ!
((o(。>ω<。)o))」
「これはぁ……なんというか……」
「ドキ(✱°⌂°✱)ドキ」
「……僕は好きだよ」
「゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・。」
『好き嫌い』
頭を撫でる
「私はあなたが好きよ」
髪を掬う
「世界がどれだけ変動しようとも」
頬に触れる
「常識がどれだけ流動しようとも」
瞳を視る
「私はあなたを嫌いにならない」
額を合わせる
「私はあなたを愛してる」
口元が近づき
「……だけどね」
息がぶつかり
「だけどどうしてもね」
その唇に
「あなたのことが」
口付けを
「苦手なの」
……しない