ノーム

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2/6/2023, 7:30:57 PM

『時計の針』


「……というわけで、如何して遅刻したのか理由を話してもらおうか」

人間が勝手に生み出した時間という概念に囚われた哀れな男が、アイデンティティの確立に忙しいマージナルマンたる私を睨めつけながら問うてきた。

時間に囚われてしまうのも仕方が無いことだと理解している、人間という矮小な存在である限りそれは逃れることの出来ない宿命だと言っても過言では無いだろう。

だが……時間とは本来存在しないものだ。

時計の針が何処を指していようと関係が無い、これは認識の問題だ。
短針と長針がズレた時に、それを針が離れたと捉えるのか、それとも針が近づいたと捉えるか。
そんなことは自らの認識によってどうとでも解釈することが出来るだろう?それと同じことなのだ。

時計の針が何処を指していようとも、それは現在であり過去であり未来でもある、それこそが時間に対しての正しい認識といえよう。

そう、私のこの認識が正しく真実である。

で、あるならば……いま目の前で目くじらを立てながら私を睨みつけているこの男は何様のつもりなのだろうか?

私は多少の理不尽なら許容することが出来る、それが相手の不徳によるものだとしても慈愛の心を持ってして抱擁することも辞さないだろう。

私は寛大である。

……だがどうだ?
どれだけ懇切丁寧に説明しようともそれを認めず、自らの過ちに気付かないばかりか、その叡智を授けてくれた賢人に対して不敬な態度で詰め寄る。

いくら私が善きサマリア人だとしても限度というものがあるだろう?

「そこのところどうお考えですか?先生」

「…………親御さん、呼ぼうか」

「やめてっ!?」

2/5/2023, 11:51:28 AM

『溢れる気持ち』


足をバタバタ
拳をギュッと握って
体を小さく丸めてしまう

スゥーと息を吸う
吸って吸って吸って……十秒後

手足をバッと四方に伸ばし
体を仰け反らせて大きく叫ぶっ!!

「あぁぁーりぃぃーがぁぁーとぉぉーうぉぉぉおおお!!!」

肺の中の空気を全て吐き出せっ!!

「本当にぃぃー!みぃぃーんなっっ!」

溢れる気持ちを全て叫び出すんだっっ!!

「あぁぁーりぃぃーがぁぁーとぉぉーうぉぉぉおおお⤴︎︎︎(裏返り)!!!」

……スゥ〜……ハァ〜

「あー、スッキリした」

2/5/2023, 7:11:26 AM

『Kiss』


あー、キスね?
良いよねキス、分かる分かる
なんかこう……ドキドキするよね?
そうそう、キュンキュンしちゃうよねー
うんうん、マジ分かるー

ん?……キスの経験?
そらもう、アレだよ……百万回はしたんじゃないかな?

……
…………なんか文句ある?!

2/4/2023, 9:22:58 AM

『1000年先も』


今の時代ってなんか凄いですよね
こう、なんていうか……全体的に?
科学の発展だとか価値観の変動だとか、酔いそうなぐらいに新しいものが誕生してますよね
ぽんぽんぽんぽん
……なんかやばくないですか!

ここ十年ぐらいで、どれだけのものが変わったのでしょうか?
このまま変わり続けることは、私達にとって良い事なんですかね?……それとも悪いこと?
この人類社会の変化はまだ始まったばかりでしょうから、いま考えたところであまり意味が無い気もします

未来なんて誰にも分からないでしょうからね

この答え合わせが出来るのは、1000年先にはなりそうです

2/2/2023, 11:40:13 AM

『勿忘草(わすれなぐさ)』


──勿忘草(わすれなぐさ)が咲いた

俺は善人では無い

主観的で
客観的で
普遍的な事実だ

──勿忘草(真実の愛)が散った

最小の犠牲で最大の幸福を求めた社会
その中で生きる誰が善人になり得る?

瞬間的な悲劇がなんだ
永続的な悲劇はなんだ?

本当は解っているくせに
白痴のふりをする奴等ばかり

──勿忘草(真実の友情)が散った

考える余地も無く
議論の必要も無い

馬鹿馬鹿しくて
馬鹿馬鹿しくて

ただただ
ただただ

つまらないだけの話

──勿忘草(私を忘れないで)を踏みにじった

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