『風邪』
くしゃみをする、私が出た
まだ鼻がムズムズとする
くしゃみをする、私が出た
まだまだ鼻がムズムズとする
くしゃみをする、くしゃみをする、する、する、するするするする…………私が出た
ついに残ったのはむず痒さだけ
くしゃみをする、何が出た?
『雪を待つ』
こんにちは雪です
いえ、雪だったものです
降り積もって初めはふわふわだった私ですが、人に踏み固められて氷のようになってしまいました
このままでは危険です
私の上を通った人が、滑って怪我をしてしまうかも知れません
だから新たに雪が降るのを待ってます
氷のように固くなった私ですが、表面だけでもふわふわに戻れば可哀想な怪我人は出ません
……日が当たって溶けるのを待てば良いって?
ずいぶんと残酷な事をおっしゃいますね
『イルミネーション』
「…………アンタどうしたの?」
「……いや、僕って暗いから……こうすれば……まだマシかなって……思って……」
「いや、だからって……身体中にイルミネーション巻き付けるのは違うんじゃないかなぁ〜って」
「……ダメ?」
「ダメっていうか……こう、ズレてるというか……とにかく辞めた方がいいんじゃないかな?」
「……そっか……じゃあどうしたら……明るくなれるんだろう……」
「……そのままで良いんじゃない?アンタが思ってるよりも、誰もアンタに興味なんて無いよ」
「…………」
「わーー!泣かないでっ!ごめんっ!そんなつもりで言ったんじゃないから!」
「私はアンタの良いところ沢山知ってるよ!無理して変わろうとしなくても、分かる人だけが分かれば良いんじゃないかなって思うの」
「……それは……そうだね……でも何だか寂しいんだ……」
「……みんな……青春を持ってる……僕だって欲しかったけど……無理だったから……」
「だから明るくなろうとしたの?」
「……うん」
「そっかぁー……でもやっぱり、アンタはアンタのままでいいと思うよ?」
「……どうして?」
「みんな青春を持ってるのかも知れない、みんなアンタより明るいのかも知れない」
「だからこそアンタみたいな人が必要なんだよ、本当に全員が全員明るかったらその価値が無くなるでしょ?」
「逆に考えたらアンタは青春を持ってる人、明るい人を客観的に見る事が出来る貴重な人なんだよ!そこは喜んでもいいんじゃない?」
「……そっか……そうかも……知れないね……僕は僕なりに頑張って……考えて生きてみるよ」
「……でもやっぱり……僕だって……青春を持ちたかったなぁ……」
「いや、その性格じゃ無理でしょ」
「…………」
「わーー!ごめん!泣かないでっ!」
『愛を注いで』
満たされない
満たされないのだ
渇いた
乾きに渇いた
あぁ……ああ……ああっ……ああぁっっ!
………どうしてくれようかっ!!
何故こんな思いをしなければならないっ!
何故こんなにも苦しまなければならないっ!
誰のせいだっ!
一体全体誰のせいだっっ!!
…………私のせいじゃないぞ?
私はこんなにも満たされ無いのだから
私はこんなにも渇いているのだから
人のせいにして何が悪いっ!
私はこれ迄もこれからも、この渇きが満たされない限り被害者だろう!?
満たされないのが大義名分だっ!
この渇きこそが免罪符だっ!
…………そうだろう??
『心と心』
「アンタに私の気持ちの何が分かるのよっ……!」
「分からないよ……そんなの分かるわけ無いじゃんっ!」
「なら構わないでよっ!放っておい「でもっ!」て……」
「でもっ……貴女の気持ちを考える事ぐらいなら出来るもんっ!」
「貴女の苦しみが分かるなんて、口が裂けても言えないけど……」
「貴女の気持ちを少しでも理解しようと、考えて努力する事は出来るからっ!」
「だからっ……だから、貴女の苦しみの一つでも良いから!」
「私にも一緒に背負わせてよっ……!」
「……どうして……私なんかに構うのよ」
「アンタいったい何なのよ……」
「……ワケ分かんないわよ」
「貴女も私の気持ちが分からないんだ……」
「じゃあ……お互い様だね!」
お互いに人の心なんて読めやしない
お互いに相手の心なんて分かりっこない
しかしそれでも
そこでは確かに心と心が向かい合っていた