不条理
どうして、どうして……
貴方のことを一番に想っているのは私のはずなのに、どうしてあの子たちの方が貴方に近づいているの?
冷静に考えれば分かる。
貴方に近づく勇気が無かっただけ。ただの努力不足。それだけで済む話だ。
それでも、不条理を感じてしまう。
あの子たちが羨ましい。
貴方にもっと近づけた、あの環境が……。
大好きだから、貴方の姿をもっと見ていたかった。
大好きだから、貴方のことをもっと知りたかった。
そんな、愛する貴方とは……今日でお別れだった。
教室を覗いて見えた景色。あの子たちがいる。貴方がいる。
……やっぱりあの子たちが羨ましい。
それでも、悔いは無かったと言いたい。だって……
貴方のことを、心ゆくまで愛せたのだから。
安らかな瞳
惨い死体を見つけた。
死因は不明だが、死後に暴力を振るわれたようだ。
この人は嫌われていたのだろうか。
生前のことを思うと幾らでも同情の念がわいてくるが、そんなこと明日には忘れているだろう。
しかし、時が経っても私の脳みそに貼りついて離れないであろうことがひとつある。
唯一綺麗な顔に焼き付いた表情は、あまりにも安らかであった。
ずっと隣で
あなたの隣には、誰がいるのだろうか。
その座を奪おうなどという、不遜なことをしでかすつもりは毛頭ない。
ただ知りたい。
相棒でも、伴侶でもいい。
あなたはどんな世界で、誰と共に生きているのだろうか。
私がそこにいる資格は、多分ない。けれど……
せめて、あなたの人生に少しでも彩りを与えられる存在になりたい。
私の人生を、彩ってくれた人だから。
愛と平和
愛に満ちてる私の世界は平和そのもの。
けど、一歩外に出たらそこに平和は無い。
桃色の愛がぎゅうぎゅうに詰まっていられるのは、閉鎖的で他人を拒んでいる世界に限られている。
そうじゃない世界って、いつもみんなが争っていたり、隙間風が吹いていたりしている。
別にそれが悪いって訳じゃない。挑戦的な人生もいいもんだと思う。
ただ、それなのに、扉で固く閉ざされた世界を見たことがある。
扉はぼろぼろで、風に吹かれたら飛んでいきそうだった。
月夜
不思議と明かりひとつない街を、私はひとり歩きまわっていた。
ふと見上げた夜空は、息を呑むほど綺麗だった。
思わずスマホを取り出して……しまった。
こんな苦しい毎日なんて、どこにも残したくないのに……