秋茜

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11/17/2025, 9:58:24 AM

君を照らす月

家に帰れば私ひとり
まだ君がいないことに慣れない
私だけしかもういないのに
机には二つのマグカップ

夜の公園で
二人ブランコこいで
月明かりの下で二人
子供みたいにはしゃいでた

胸が張り裂けそうな悲しみに
叫び出しそうな夜は
あなたが好きな歌を口ずさんで
ひとり涙流すの
胸が張り裂けそうな悲しみで
眠れないまま過ぎる夜は
あなたと歩いた日々を思い出すの
夜が明けるまで

11/15/2025, 3:48:29 PM

木漏れ日の跡

いつもの帰り道 車窓に映る横顔
少し疲れたかな 今日もまた夜が来る

懐かしさ探してしまうのは
今が悲しいからじゃない
ただもう一度あの時間を
夢に見たいだけ

木漏れ日の跡 辿り
ついた先はあの夏の日
走る背を追いかけても
君は微笑んで離れていく

木漏れ日の跡 辿り
目覚めた春は独り
走る背を追いかけては
「また会おう」って叫ぶんだ

いつもの朝の日が 昨日を忘れさせたら
少し気だるくても おはようって言って起きるんだ

夢を見たいのは
現実に飽きたからじゃない
ただただ生きていくだけじゃ
忘れてしまうから

木漏れ日の跡 辿り
ついた先はあの夏の日
走る背を追いかけても
君は微笑んで消えていく

木漏れ日の跡 辿り
目覚めた春は独り
走る背を追いかけては
「ありがとう」って叫ぶんだ

時は足早に ただ過ぎゆくだけ

木漏れ日の跡 辿り
ついた先はあの夏の日
走る背を追いかけても
君は微笑んで離れていく

木漏れ日の跡 辿り
目覚めた春は独り
走る背を追いかけては
「また会おう」って叫ぶんだ
さよならしたら夢は終わり

11/15/2025, 3:46:28 AM

ささやかな約束

――ここは、王国の外れにある小さな町“エルラントス“。

「わあ……凄い人混みだなぁ……」
感嘆の声を漏らし、行き交う人波を忙しなく見渡している少女は、
王都“マルゼンバルト“から護衛の為に派遣された“マルゼンバルト騎士団“の一人、
リナリアだ。

いつもは静かな片田舎の町である
ここ“エルラントス“では、
この日、十年に一度の大きな“祭り“が行われていた。

「こら、あまりはしたない態度はお止めなさい。 誇りある王都の騎士団としてもっと堂々となさいな」

そう言って、はしゃぐ子犬のように
落ち着かないリナリアを嗜めたのは、同じ騎士団の仲間であるロザリーだ。

リナリアは我に返ると、少し恥ずかしそうに頬を赤らめて、ロザリーの隣に戻って来た。
「ごめんなさい。 でもこんなに楽しそうなお祭り、マルゼンバルトでも見たことなかったものですから、つい……」
リナリアはえへへ、と笑いながら上目遣いでロザリーを見つめる。

「全く……。 私たちは、任務でここに来ているのよ? 真面目にしなさいな」
リナリアは、えへへと笑って誤魔化す。

「そう言えば、ロザリーは覚えていない? ここに来て、何か思い出さない?」
そう言ってリナリアは、空を見上げる。

「……? 何かって、何を――」
ロザリーが聞き返そうとしたが――。

「おーい! 嬢ちゃんたち! 今日は、めでたい日なんだから! こっちで一杯やって行かないかー!?」
威勢の良い大柄な男性が、目の前の酒場の窓から身を乗り出してリナリアとロザリーに声をかけて来た。

今日は二人とも“警戒させないように“という意図で騎士団の装備品は外して来ていた。
その為、腰に下げた剣以外は普段の私服そのままだったのだ。
そのせいで、普通の町人と間違われたのだろう。
ロザリーが断ろうとするが――。

「ロザリー、ちょっとだけならいいんじゃないですか? せっかくお誘いいただいたのですし……」

「え? あ、ちょっとリナリア!」

リナリアは、ロザリーが何か言う間もなく走って行ってしまった。

「あの子は本当に……」
頭を抱えつつも、放っておくわけにも行かず。
仕方なく、ロザリーも後に続いて酒場へと向かおうとした――その時だった。

「きゃああああ!!」

群衆のざわめきを切り裂いて、女性の叫びが聞こえた。

ロザリーが即座に反応し、声のした方を見る。
丁度、女性が持っていたカバンを取られて路上に転び、犯人が逃走しようとしているまさにその瞬間だった。

「待ちなさい!」
ロザリーが走り出す。

しかし、男の足は早く、追い付けないどころかどんどん離される。
――くっ……このままじゃ、逃げられる!!

ロザリーが焦る。その瞬間。
後ろからロザリーを追い抜き、群衆をすり抜けて犯人に迫る影――リナリアだ。

狼のような速度であっという間に距離を詰め、体当たりで犯人の男を地面に叩き伏せる。

「くそっ!!」
男がナイフを取り出し、リナリアに切りかかる。
が、次の瞬間ナイフはリナリアの手にあった。
男の武器をあっさり奪うと、腕を決めて取り押さえる。

一瞬の出来事だった。

「私、悪いひと嫌いなんですよ。……抵抗するなら腕、折っちゃいますよ?」
リナリアが冷たい声で組伏せた男に話しかける。

「ひっ……悪かった! もうなにもしないから、た、助けてくれ!」

観念したのか。
それから暫くして駆けつけた保安官に引き渡され、物取りの男は無抵抗のまま連れていかれた。

――「お手柄でしたね。 リナリア」
ロザリーが誉めると、リナリアはもじもじと照れたそぶりを見せはにかんだ。

その時、ふと、ロザリーの脳裏にある記憶が思い出される。

丁度、十年前――この町に来たことがあった、と。
あの時、路地裏で野犬に襲われていた女の子を助けたことを。
その子とした、約束を――。

「思い出した? ロザリー。 ……あの時は助けてくれてありがとう」
「リナリア……」

その子とした約束。それは――。
『いつかあなたが困ったり、あぶなくなったら……こんどは、わたしが助けてあげるから! ……わたし、つよくなるから!』

――そうか。あの時の女の子は……。

「私、強くなれたかな? ロザリー」

「……ええ、十分過ぎるくらいに、ね。 今日は助けてくれてありがとう、リナリア」

そう言って、二人は笑顔で握手をした。

「……まあ、今日くらいはいいでしょう」

そう言って、ロザリーが先ほどの酒場に視線をやる。
リナリアの顔が、ぱっと笑顔になる。

ここは、片田舎の町“エルラントス“。
今日の祭りは、まだ始まったばかりだ。

あの日の“ささやかな約束“を果たした少女と、その“未来“を決めたきっかけになった少女。
その二人が大人になった今、片田舎の酒場で隣に座り、笑顔をこぼしながら酒を飲み交わしていた。

11/13/2025, 2:47:01 PM

祈りの果て

いずれ 沈みゆく
月船に 揺れる心
あはれ 愛し日は
玄鳥去 秋の夢

花笑む君と 戯れに酔う
いつかの夜を想えば涙
どうか 唄い笑い また会える日を
花月夜に誓い 別れ 祈りの果て

11/12/2025, 1:07:44 PM

心の迷路

“心の壁“や“心の扉“といった言葉を建材にして家を建てたら、それは快適な暮らしを送れる家になるだろうか?

いや。多分、人にはよるとは思うが。
大抵は“住める家“というか“迷路“になりそうだ。

やはり、家は普通の建材で建てるべきだろうし。
例え、“心の家“なんてものがあっても入るべきではないだろう。

君子危うきに近寄らず、だ。
虎子を得る為に危険を侵す必要は、現代においてはそうはないだろうし。

ただ、初心と好奇心は、猫を殺さない程度には人間にとっては必要なのかもしれないとは思うが。

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