“ 好きな本 ”
良さそうな本を見つけた 。
読みたい 、 ってよりは雰囲気が好き とか その物自体に惹かれる
的な 。
そーゆー好き だった
「なに ?その本気になるの ?」
「いや 、そんなことないよ 。 ただ落としそうになっちゃって 。」
立ち寄った本屋でその本を手に取って友達に聞かれ
咄嗟に嘘をついてしまった
後日 、 恋人と本屋に来た 。
「この本良さそう」
君が手に取った本は 、あの時俺が気になった本だった
「うん 、いいと思う」
「じゃあこれにする!」
この子は 、 感性があう 、
その事実が何よりも嬉しくて
この子だけは何があっても大切にしようと思った
“ あいまいな空 ”
曖昧な空は嫌いだ
どんよりしたような 、 ぼんやりしたような景色
人生一度きりしかない中で沢山の景色を刻もうとするなら
そんな空を見ている時間さえ勿体ないと思ってしまう
なのにこんな空を君は好きだと俺の前で笑う
「なんでこんな空が好きなのさ」
「だってよく見て 。
少し差し込む光が見えたらそれはもう希望みたいじゃない ?」
神秘 、 的なやつだろうか 。俺にはよく分からないけど
「いつも失敗ばかりで酷く落ち込んだ私みたいなの
それでも私をいつも励ましてくれて光を与えてくれる
貴方を見てるみたいで安心するの」
そうか 、 彼女にとって俺はそんな存在になれていたのか
俺にとっての君も僕の人生に光をくれた人だということを
伝えたくなった 。
「じゃあ 、 俺もこの空を好きになったかも 。」
「なら良かったわ 。」
2人で手を繋ぎながら空を見上げて帰った 。
“ 紫陽花 ”
「ねぇ 、 紫陽花って綺麗だよね 。
全部微妙に違う個性持ってて 、 あとほら .. 夏の象徴っていうか
紫陽花の浴衣着てる女子とか見て 、 可愛いな 〜 とか
好きな子と一緒に紫陽花みて帰ったこととか
甘酸っぱい思い出ばっかりなんだよね」
「急にどうしたのさ 、 紫陽花なんて 。」
「紫陽花祭り 、 一緒に行こうよ 。男同士で」
「絶対やだ」
ケチ と 言わんばかりに頬を膨らまして彼は
“ 他の奴誘うからいい ” と俺の前を後にした
紫陽花は愛情運を持って行ってしまう花 、 だと聞いたことがある
そんな恐ろしい花一緒になんて見に行きたくない
ただでさえ 、 君と僕を繋ぐ愛は少なく理解されがたいものなのに 。
けれど 、 君とはずっとこのままで居たいから
他の奴誘ってほぼ全部の愛情運を吸い取られて
俺の元に戻ってきてくれればそれでいいと
紫陽花の力を頼ってみたいとも思った 。