いつも言われるセリフ。
_脳内お花畑かよ。
私は、そうでしょ。羨ましい?と笑って言う。
言ってる側は、皮肉のつもりなのだろう。お前のような馬鹿にはお似合いだ。という声が聞こえてきそうだ。
そんな人を見ると、哀れみのような感情を覚える。
この人は、偽るという事を知らないのか。と。自分をも騙す嘘を、知らないのかと。
だから私は、いつも君に問う。
羨ましい?と。
君と、向かい合わせで居るのが好きだ。
君の喋っていて楽しそうな姿、怒っている姿、食べている姿が見れるから。
でも、今は向かい合わせで居たくないな。
泣いている姿を見せてしまいそうだ。
君のためを思った。
そんな行動だったはずなのに,君は素知らぬ顔をした。
私の選択は、感情は、間違えてしまったのだろうか。
_やるせない気持ち
海へ。
_お前はいいなぁ。
6畳の部屋の片隅にある,水槽の中に居る金魚に言った。
ゆらゆらと、気持ち良さそうに水の中を泳ぐその姿に,私は昔の夢を思い出した。
_人魚姫
誰もが1度は見た事のある,あの童話。私はそれに憧れたのだ。
人魚になりたかった。例え、泡となり,消えていってしまう存在でも。
ふと、人魚の見ていた景色が気になった。
そう思った時には、車を走らせていた。
目的地はもちろん。海だ。
時刻は夜中の2時。夏とはいえ、日が落ちたこの時間帯は,幾分か過ごしやすい。
歩くと、ギュッギュッと砂浜が鳴いていた。サンダルに砂が入る。どうせ濡れるのだ。脱いでしまおう。
海水に触れると,とても気持ちよかった。風が吹き、塩の匂いがする。
膝まで浸かると、先程感じていた暑さも無くなった。
肩まで浸かった。ここまで来れば。膝を曲げるだけで顔まで沈める。
_沈める。のに。
怖気付いたのだ。何故か分からない恐怖が襲ってきたのだ。
_息が吸えなくなった。当たり前だ。暗かった。当たり前だ。広いと思っていた海が。狭く。それでいて,沼の様に深く見えていた。
ぁあ。うちの金魚はこんな気持ちだったのか。あの童話の人魚姫はこんな気持ちだったのか。
自由なところから、檻に閉じ込められた子達は。どんな思いで泡になるのか。
裏返し。紙で例えると,裏があるなら,表もある。表だけ見ていれば,裏側なんて,′′捲る′′という動作をしなきゃずっと隠れたまんま,どんだけ裏が濡れていても,落書きされていても,嫌なことが書いてあっても,表に出なきゃ分からない。
びちゃびちゃに濡れて,表から透けて見えても,はっきりとは見えなくて,見て欲しいって思っても、紙は勝手に裏側にはならなくて。
見てくれる人が、ペラっと捲ってくれなきゃ,何も見えない。
捲って欲しい。全部辞めたい。吐き出したい。分かって欲しい。間違ってないって言って欲しい。
って思っても,捲ってくれる人なんて居ないから。
面倒くさくなって、捨ててしまおう。って,丸めてゴミ箱に捨てれたらいいのに。丸めるだけで、ゴミ箱には入ってくれない。
広げたら、端が切れて,グチャグチャな跡がついた紙になっちゃった。
裏側なんて知るもんじゃないね。