バカみたいに夢中だった
君の姿を見るだけで
君の声を聴くだけで
心拍数は跳ね上がり
君の一挙手一投足が
絶えず気になった
ストーカーになるほどの
勇気も実行力もなく
それでも時には偶然を装い
君の帰り道で
気付かれないように
こっそりと待ち伏せたりもした
見返りなど
なにも求めてはいなかったし
考えたこともなかった
君に会えることが
幸せのすべてに思えていた
幼くて可愛い
わたしの初恋物語
# バカみたい
二人ぼっちに慣れていた
あなたの傍にいることに
二人ぼっちでいることに
やすらぎと
落ち着きと
安心感と
平穏な優しさ
その居心地の良さに
心は解放されて
あなただけを見続けていた
あなたを失くした現在(いま)
粉々に砕け散った
二人ぼっちの日々の欠片を
拾い集めては
完成することのない
ジグソーパズルで
生きる辛さと
一人ぼっちの
寂しさと虚しさを
紛らわす
# 二人ぼっち
夢が醒める前に
夜の河に小舟を浮かべ
あなたのもとへ
月の光がキラキラ
水面に揺れて
小舟もゆらゆら
流れ流され
暗い河は果てもなく
もう一度
あなたに逢いたい
恋心
せめて夢に出てきてと
熱い想いを
運びます
# 夢が醒める前に
君に逢う時の
胸の高鳴りは
いつも
何年経っても
毎回同じように
心に華やぎと
微笑みを
もたらしてくれた
その胸の高鳴りが
いまでは
ひとつの
優しい想い出となって
こんなふうに
懐かしむ日が来るなんて…
# 胸が高鳴る
ふと気付けば
コブシが咲き
ナズナが風に揺れている
いつの間にか
辺り一面
春
暖かい陽射しが
わたしを包み
青空が笑い
白い雲が手を振っている
季節が巡るように
人の気持ちも少しずつ
移ろっていく
いつまでも
同じ場所には留まれない
だから きっと
いつかは きっと
あなたがいない暮らしにも
慣れていけるはず
大丈夫
もう 泣かないよ
# 泣かないよ